コロナ禍で長く続くマスク生活で、ここ1~2年、言葉の出はじめや発達がゆっくりな子どもが増えているといわれています。

「うちの子、言葉がゆっくりかも?」そんな不安をかかえるママに、発語を促す“ことば音楽療法”を、ご紹介します。

ことば音楽療法士・発達支援、英語リトミック講師の中山奈津子先生(通称、なつこ先生)を取材しました。

クラシック音楽の打楽器奏者でもある、なつこ先生は、3歳と5歳の子育て中のママです。自ら、子どもの言葉の遅れを経験したことから、様々な音楽活動を通し、ママと子どものサポートをしています。

プロの音楽療法士として、ママとして、両方の視点からお話を伺いました。

——マスク生活で、ことばの遅れが気になる子どもが増えているとのことですが、実際にどのような影響がでていますか。

なつこ先生「私自身の子供が療育施設にお世話になっているのですが、心理士や言語聴覚士の先生から、マスクの影響で言葉が遅れている、という話をよくお聞きします。

マスクで口の形が見えないこと、表情がわからないことで、影響が出ているようです。

実際に、息子(5歳)のときよりも、娘(3歳)のときのほうが、検診時に、言葉の遅れを感じる子が多いと聞いています」

——ことば音楽療法とは、どのようなものですか。

なつこ先生「ことば音楽療法は、音で楽しみながら、発語や言語の発達を促す音楽療法です。元々は、特別支援学級で教職をされていた堀田喜久男さんという方が、40年以上にわたって実践してきたものを体系化したものです。

わらべ歌でもよく使われる「ラ・ソ・ミ」の音階と「3・3・7拍子」を使った歌で、ことばの発達を促します。子供の遊びの中で自然に使われる「かーしーてー♪」「どーうーぞー♪」と歌のようにつく抑揚と、同じ抑揚が使われます。

たとえば、セッションではお子さんの成長に合わせて、以下のような内容を行います。

・「あ・い・う・え・お」など、1音のことば
・「くるまが、きた」などの2語文、さらには3語文
・お金の数え方
・時計の読み方
・九九 など

最終的には、子どもの社会的な自立につなげていくものです」

——どんな子どもに、特におすすめですか。

なつこ先生「例えば、こんな子におすすめです」

・言葉の発達がゆっくり
→検診のときに言葉の遅れを指摘された、他の子と比べて「うちの子、ゆっくりなのかな?」と思ってしまった、など

・コミュニケーションが取りづらい
→「いつも一人静かに黙々と遊んでいて、あまり話さないなぁ」「やり取りがスムーズにいかないなぁ」と思ってしまうなど

・発音が不明瞭
→ごにょごにょ話す、吃音がある、例えば「わんわんがきた」を「わわきた」のように、短く早く発音してしまうなど