PARCO劇場オープニング・シリーズ「大地」が6月20日から上演される。本作は、三谷幸喜が新生PARCO劇場に書き下ろす新作。大泉洋を主演に迎え、三谷流「俳優論」を繰り広げる。三谷作品初出演となる竜星涼に、自身が考える「俳優論」を語ってもらった。
-初めての三谷作品出演になりますね。
三谷さんとはいつかご一緒させていただきたいと思っていたので、とても光栄に思います。しかも、それが舞台作品で、さらにPARCO劇場での公演ということで、僕にとっては意味のある作品になると思いました。舞台は、(18年に上演された)劇団☆新感線の「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」(以下、「髑髏城」)以来となるのですが、「髑髏城」でのお芝居を踏まえて、挑戦していきたいと思います。
-三谷作品の魅力をどこに感じていますか。
出演者みんなが楽しそうに演じられていることだと思います。映像もそうですが三谷作品には、現場の楽しい雰囲気が画面から伝わってくる作品が多いので、きっと舞台裏でも同じ空気感が漂っているんだろうなと楽しみにしています。
-PARCO劇場に立つのも初めてということですが、初めて尽くしの公演で、どのようなことを意識しようと思っていますか。
演劇に出演させていただくときは、学びの場として真摯(しんし)に向き合いたいと思って臨んでいます。今回も素晴らしい先輩方ばかりなので、たくさん学ばせていただきたいと思います。
-本作は「俳優論」を描いた作品ということですが、竜星さんご自身も出演する中で「俳優論」について考えることになるのでは?
毎回、演劇に出演することは、僕自身の役者としてのマインドやスタンスを変えてくれるターニングポイントだと思っているので、そういう意味でも今回、このテーマの作品に出演できるのはうれしいです。僕にとって「髑髏城」で得たものはすごく大きなものだったので、今回もまた、役者として今まで経験してきたこと以上の経験をさせていただけると思いますし、次のステップに進まなくてはいけない時期なんだと、このテーマを見ても感じました。
-「髑髏城」ではどんなものを得たのですか。
「自信」だと思います。それまで僕は、この仕事が本当に自分に合っているのかということをどこかでもがきながら考えていたんですが、「髑髏城」に出演したことで、役者としての使命感や責任感を感じることができましたし、お客さまや先輩方からのお言葉を頂いてこの仕事をやっていて本当によかったと実感できたんです。もちろん、これまでもいろいろな作品に出演させていただいて、感謝の気持ちを持って仕事をしてきましたが、「髑髏城」で自分の中に一つの芯ができたように思います。なので、公演が終わってからは、この仕事に対する迷いもなくなりましたし、もっともっとストイックに、そして楽しくやれるようになりました。そういう意味で、自信がついたのだと思います。
-そもそも、竜星さんは映像作品でも活躍されていました。「髑髏城」は久しぶりの舞台作品だったと思いますが、そこに挑戦してみようと思ったきっかけは何だったのですか。
これまでも、劇団☆新感線の舞台は観劇させていただいていて、素晴らしい作品を上演されていることは分かっていたのですが、同時にそのステージに立つことの大変さや難しさも見えていたので、正直、すごく不安でした。でも、チャンスをもらったのだからやるしかない、飛び込んでみよう、と。僕の人生において、「挑戦」が一番のテーマになっているので、「髑髏城」に出演することも挑戦しがいのあることだと思ったんです。台本を読んだら、あまりにも大役だったので、震えましたが(笑)。殺陣もあって、日舞もあるという難しい役どころでしたので、稽古に入る前から練習をしてまさに挑戦が続く作品でした。
-本作の「俳優論」にちなんで、竜星さんの俳優としての歩みも教えてください。俳優を目指したきっかけは?
僕はスカウトです。それまでは自分の中で「役者」というのは仕事の選択肢にはなかったのですが、スカウトされて何も分からないまま映像の世界に入って、こういう世界もあるんだと思いながら、ひたすら目の前のお仕事に一生懸命取り組んでいくうちに、気づいたらあっという間にここまできた感じでした。
-一番最初に役者としての手応えを感じたのはいつでしたか。
今、改めて振り返ってみると、「髑髏城」に出演したときが初めて手応えを感じたときだったのかもしれません。もちろん、ほかの作品も僕にとってとても意味のある作品ですが、大きな自信を得られたのが「髑髏城」だったんです。新感線に出会ったことで、自分が本当に好きなもの、目指しているものが見つかったように思います。
-俳優を続けていくモチベーションは?
挑戦です。例えば、初めて共演する方と一緒にお芝居させてもらえることはわくわくしますし、毎回違うものに出演し続ける面白さはこの仕事ならではだと思います。自分がやったことがない役、やってみたことがないもの、やったことがない場所での仕事を大事にしていますし、常に挑戦していきたいと思っています。
-改めて、本作への意気込みを。
僕にとって、初めてのPARCO劇場、初めての三谷作品という大きな意味のある作品です。今(取材当時)はまだ、どんなストーリーが展開されるのか分かりませんが、ハッピーな作品を提供できたらいいなと思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
PARCO劇場オープニング・シリーズ「大地」は6月20日~8月8日、都内・PARCO劇場で上演。公式サイト https://stage.parco.jp/program/daichi/