1994年に入門した同期、桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝が『吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会』を3月29日(水)、大阪・ABCホールで開催する。『くしかつの会』とは、“94年から活動を始めた”ことにちなんで命名した。
吉弥は桂吉朝に入門し、桂米朝の下で内弟子期間を過ごした。春蝶は三代目桂春團治の下へ、かい枝は先代の五代目桂文枝の下へ入門。3人とも上方落語四天王と呼ばれる噺家に育てられた。「師匠から教わったこととか、何となく共通する部分のある3人です。何か一緒にやりたいと話していた数年後、一門や所属事務所の垣根を越えてこういう会をやらせてもらえて。我々3人が今後の上方落語を引っ張っていく存在になれるよう、そこを目指す会だと思っています」とかい枝。
現在、東京に拠点を移し、アウェイで上方落語の発展に心血を注いでいる春蝶。東京では今、若手から中堅を中心にした落語ブームが再び起こっている。「東京でやっていて思うのは、上方の落語家は向こうに全然負けていなくて、倍ぐらいの力がある人が多い。でも、残念ながら東京の宣伝力が関西の10倍はあるんです。ということは、力が倍あっても、東京の宣伝力は10倍なので、結果的には5倍負けているんですよね。なので、何とかして大阪でも様々なブームを作っていきたい」と、『くしかつの会』がその先駆けになればと意気込む。
ネタは吉弥が「百年目」、春蝶が「芝浜」、かい枝が「三十石夢の通い路」といずれも東西を代表する大ネタだ。春蝶が口演する「芝浜」は東京の噺。それを春蝶は上方から江戸に引っ越してきた魚屋夫婦という設定に置き換えた。「自分の持っている古典の大ネタとして、一番聞いてほしかったもの。上方の噺家が東京の代表的なネタをやったら、こんなふうになるんやでという、大阪のイズムみたいなものも聞いてほしい」と春蝶。一方、「三十石夢の通い路」を演じるかい枝は「ふたりは重厚感のある噺なので、その間をスルスルと行くような、“楽しかったな、面白かったな”と思ってもらえたらと思って」選んだ。ネタ順は当日、舞台上で決定する。ネタの順番によっても聞き応えが異なるだけに、当日が楽しみだ。
これからの上方落語界の担い手と嘱望される、名実ともに磐石の3人が集った。新たな時代の潮流をその目でぜひ確かめてほしい。チケットは発売中。