一人10万円「ばらまく」意味を、どう考えるか

「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が4月20日、閣議決定されたことに伴い、一人10万円の特別定額給付金(仮称)を配布することになった。当初政府は、収入減が一定の水準を上回る世帯に30万円支給するとしていたが、方針を改めた。

富裕層も貧困層も一律に一人10万円とは。この方針転換を最初、とんでもない愚策だと感じた。支援の必要がない層にも金をばらまく。政権の人気取りに使う「無駄金」。より厳しい環境に置かれている人たちに素早く厚い支援をすべきだ、と思ったからだ。今回の総予算は12兆8802億9300万円。20年度の国家予算が102兆6580億円だから、12.5%に相当する莫大な支出だ。

今回のコロナ禍でも、何の問題もなく生活できる人たちは、当然、受け取りを辞退するもの、と考えていた。ところが、ジャーナリストの木村太郎氏を筆頭に、およそ緊急の10万円などまったく必要ないであろう人たちが、受け取ると公言している。最初は思った「銭ゲバかよ」と。

ただ、よく考えてみれば、多少の人が受け取りを辞退したところで、それがすぐ「今まさに困っている人たち」に回るわけではない。結局、わけの分からないところに支出されて終わるのが関の山だ。ここは考え方を変える。およそ13兆円もの使途自由の支援原資が私たちに割り振られたと考えてはどうだろう。全国民に等しく10万円分の予算執行を任された、とすれば、活用法はおのずと決まってくる。

今日明日の生活に困っている人たちは、十分ではないかもしれないが、緊急の資金として使う。当面の生活資金に問題ない人たちは、10万円をすぐに使う。募金もいい。行きつけの定食屋で多めにテイクアウトするのもいいかもしれない。ひいきのアーティストのグッズやCDやDVDを買うのもいいだろう。クラウドファンディングで支援する方法もある。例えばCAMPFIREでは「新型コロナウイルスサポートプログラム特集」ページを設置した。

ライブハウスや飲食店、ロックバンドに温泉宿、カラオケバーと、ありとあらゆる新型コロナで打撃を受けた人たちを救う数多くのプロジェクトが並ぶ。しかも、すでに多くの支援を受けている。とにかく、いつも応援している人たち、今困っている人たちのために10万円を使おう。総額は13兆円。相応の助けになるはずだ。何より経済を回すことにもなる。余裕があるなら、さらに金を使えばいい。早ければ早いほどいい。特別定額給付金が振り込まれたら、何にどう使うか、今から決めておこう。まずは申請だ。(BCN・道越一郎)