――お互いの第一印象は?

団長:義彦を最初に見たときは「この人ヴィジュアル系好きなんだなあ」って思いました。髪の毛に縮毛矯正やアイロンをあてている男は当時全員ヴィジュアル系だと思ってたんで。

義彦:当時めっちゃ「ギャ男(※バンギャル男・ヴィジュアル系が好きな男性の意)」だったんで、Dir en grey、蜉蝣が大好きで。服装とかもスカルとか入ったものばっかり着てました。

団長:それに細かったんですよ。

義彦:え~、やめてよ過去形でいうの~!

団長:当時のESPってヴィジュアル系に憧れて入ってくる生徒って男性より女性の方が多かったんです。いわゆるバンギャルの延長線上で来る女の子たち。

そんな中でも当時現役でちゃんとヴィジュアル系バンドをやっているボーカル科の男子が学年の中でも義彦くらいだったから、すごいですよ! クラスメイトのバンギャル崩れにモテモテでしたよ(笑)。

義彦:なんか言い方が悪い!

団長:だって本当じゃん、モテてたじゃん!

義彦:まあ……、そうだな。

――そこは認めるんですね(笑)。

団長:で、ボーカルとしての当時の印象は「この人は歌い方にすごい癖があるなあ」でした。見た目もキャラクターもこいつ15年間変わってないんですよ。

義彦:団長も変わってないよ。

団長:だから、自分を持ってる人だなって思いました。こういう文化が好きで、プライドを持ってやってるんだろうなって当時からすごく思ってました。ブレない男ですよ。

義彦:そうだね、変えるのがめんどくさいというか、こうと決めたらずっと同じですね。

とにかく笑いがたえない対談でした

「ヴィジュアル系に偏見を持っていた俺を変えてくれたのが義彦」(団長)

――団長がヴィジュアル系を知ったのは専門学校時代の義彦さんの影響だとのことで。

義彦:その話、団長はMCとかいろんなところで言ってくれてるよね。

――団長さんが義彦さんとカラオケに行って蜉蝣を教わったという…。

団長:正確に言うと蜉蝣とLUCA(※LU⊃A)です。当時の俺はメタル至上主義で、ヴィジュアル系に偏見を持ってたんです。それを変えてくれたのが義彦ですね。本当にメタルをこじらせてたんです。

――まあ18、19歳あたりが一番こじらせますよ。

団長:もちろん世代的にSEX MACHINEGUNSやJanne Da ArcやSIAM SHADEは当たり前のように聴いていたけど、だからといって、幅広くヴィジュアル系を掘り下げて聴いているわけでもなく。

でもメジャーなバンドの話で義彦とは話が合ったんですけど。そこから「カラオケ行こう」って話になり。そこでいきなり「♪リストカッター!(※蜉蝣『リストカッター』)」みたいなことを歌いだして。

義彦:(笑)。

団長:「ああ、この人は気が触れてしまったんだな」って当時思いました(笑)。

義彦:蜉蝣が好きでライブにも行ってたんです。

団長:こいつのその頃の自慢は「蜉蝣の会場限定配布のデモテープを持ってる」でした。で、義彦によってヴィジュアル系の「インディーズ」という文化を知ったんです。

そもそも「インディーズって何? メジャーデビューしてないのに有名になってCDとか出してるの?」みたいな感じだったんです。それで「今バロックってのが流行ってんだよ」とか教えてくれて。あとはさっきのLUCAのように、俺が通ってなかった90年代の良いバンドも教えてもらったり。

こいつがカラオケで歌う「♪閉ざされた~(※LUCA『edge』)」はすごいですよ。

義彦:「BREAK OUT!」世代だからLUCA、CLOUDが好きだったんです。その後急にDir en greyも好きになって。

団長:あの頃はシャウトばっかりする人だったよね。

――今では考えられませんね。

義彦:恥ずかしいな(笑)。

団長:それで、当時の俺は埼玉、いや関東圏で1番歌がうまいと思っていたんです。でも学校のボーカルコンテストみたいな授業で、俺は絶対負けない自信があったのに見事に予選落ち、審査員からもボロクソに言われたんです。

一方義彦がDir en greyを歌って特別賞をとったんです。入学していきなりですよ。

義彦:たしかこの時も『予感』だよ。

団長:それがすごく悔しくて! ヴィジュアル系はジャパメタから派生したジャンルなのに、「メタル(本家)がヴィジュアル系(派生)に負けた!」みたいに感じたんです。そこで意識をしはじめました。

義彦:そうなんだ。

団長:俺たちの当時いたクラスは濃かったよね。皆いろんなジャンルので現役バリバリでバンド活動していてお互いのボーカルスタイルについて切磋琢磨できた。

――よく団長さんも公言されてますが、DEEP(LDH所属のR&Bボーカルグループ)のTAKAさんや、俳優の福士誠治さんも同級生とのことで。

団長:いろんなジャンルの狂ったボーカリストが多かったんです。義彦だけじゃなくて色んな人から刺激を受けたし。

DEEPのTAKAと一緒にカラオケに行ったときに「濱守の歌はメッセージが伝わってこない」って言われたのをすごく覚えてる(笑)。R&Bというメッセージを伝えることに特化した音楽をやってる人からみたら、俺なんてキーキーうるさいだけ、みたいな(笑)。

義彦:皆若かったからねえ。

――なんでも言い合えるクラスメイトっていいですね。

団長:福士誠治も演技以外の勉強をしようと来てたよね。そういう意味ではESPにいってスキルを学んだかというよりは、同級生に影響を受けましたね。

義彦:ジャンルは本当にばらばらで、皆濃かったよね。