ヴィジュアル系をこよなく愛する編集者・ライター3名が、2016年のシーンの総括と、今年の展望を語ります。
これを読むとシーン全体がまるわかり(できるかもしれません)。
(※座談会中の発言は個人の見解、注釈の文責は藤谷にあります)
藤谷:今回、雑誌「ROCK AND READ」の編集長の吉田幸司さん、「ウレぴあ総研」でも執筆されているフリーライターの高崎光さんをお呼びして「2016年をV系シーンを振り返る」座談会を行いたいと思います。
V系シーンの黎明期から密接に関わっていらっしゃる吉田さん、90年代からリスナーとしてV系を聴いていた私(藤谷)、ネオヴィジュアル系世代の高崎さんで、様々な視点の意見が伺えるかなと。
さて、2016年のヴィジュアル系シーンのトピックをおおまかにあげますと、まずはX JAPANのYOSHIKIが中心となって、若手から大御所まで勢揃いしたフェス「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016」がありますね。
大規模イベントだけでなく、己龍は昨年に続いて2度目の武道館、R指定も初の幕張メッセイベントホールワンマン公演を行っているというのも明るい話題ですね。
その一方でDuelJewelやBORN、ギルガメッシュ、SCREW、NIGHTMAREなど長く活動していたバンドの解散、活動休止もありました。RaphaelやSIAM SHADEといった復活したバンドも区切りをつけた年でもありました。
また、メトロノームや少女-ロリヰタ-23区という、ゼロ年代に人気を博したバンドの復活も話題になりました。それに音楽専科社倒産による老舗V系雑誌「SHOXX」の休刊、復刊のニュースも動向が注目されています。
もっと名前をあげておきたいバンドやニュースも沢山ありますが、それだけで1ページ使ってしまいそうなので…。
高崎さん、吉田さんにとって、2016年のV系シーンはどんな年でしたか?
高崎:うーん、「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016」、「Party Zoo」(※L’Arc~en~CielのKenを中心としたイベント。MUCC、BAROQUEらが出演)とか、すごくよかったと思います。2015年の「LUNATIC FEST.」(※LUNA SEA主宰のフェス)からいい流れはあるのかなと。
でも、毎年年末になると、ネット上では「今年は(解散が多くて)ひどかった」っていうじゃないですか。それを4、5年言い続けてる気がしていて。
藤谷:Twitterなどで情報が拡散されやすくなった結果、よくよく考えると名前しか知らないバンドの解散に反応しちゃったりすることもありますからね。
吉田:ギルガメとSCREWが同じ日に発表したのも印象に残っています。それがV系シーンにとって忘れられない日、5月2日(hideの命日)だったのが象徴的なんですよね。
藤谷:しかもそういう時だけヤフートピックスにになるんですよね(苦笑)。ネットニュース全体の傾向ですが、ネガティヴなニュースの方が拡散されやすいのは仕方ないんですけど。
高崎:だからそればかりが話題になるということは、乱暴な言い方をすると逆に「あたりさわりの無い年」だったのかもしれません。
ほかには、DEZERTやアルルカン、NOCTURNAL BLOODLUSTあたりのバンドがガンガン来ている一方で、それより一世代前のバンドが失速しているような印象があって…。
【DEZERTの2016年】
アルバム『最高の食卓』をリリース。VJS、COMMUNE、D'ER≠gari 2016 feat.DEZERTなどのイベントにも出演。2017年1月29日にMUCCやA9、LM.C等と共演する主催イベント「This Is The "FACT"」を開催予定
【アルルカンの2016年】
6月にアルバム『Utopia』をリリース。47都道府県ツアー中にVo、暁が喉の不調により休養を余儀なくされるも約一ヶ月後に復帰した。休む間もなく11月にシングル『カルマ』をリリース。今年は3月にシングル『真っ赤な嘘』『影法師』のリリースを控えている。
【NOCTURNAL BLOODLUSTの2016年】
4月にミニアルバム『ZēTēS』をリリース。ヨーロッパツアーの敢行やVJS、SCREAM OUT FEST 、LOUD PARK出演も話題となった。