11月30日にシングル『Snowman』をリリースしたvistlip。リーダーであり、ギタリストの海さんに、今年1年の総括、そして10周年にむけての展望を伺ったロングインタビューです。
本当にライブばっかりやってましたね。
――11月30日に、vistlipのニューシングル『Snowman』がリリースされましたね。
海:最初はどの曲を頭(リードトラック)にするか決めてなかったんです。メンバーの中でも意見が割れたんですけど、多数決でこの曲になりました。
『Snowman』は、レコーディングの時点で「これはCDのアートワークやPVありきで完成する曲だな」と思ったんですよね。このジャケットの金属板も凍てついた感じにして、空の色味も最終的にこの形になって。
――PVもドラマ仕立てで凝ってますね。
海:歌詞をもらってPVの構想を練っていたときに、まずドラマ仕立てにするという前提は決めていたんですが、極論メンバーいなくても成り立ついうか、無理に出すくらいならいなくてもいいだろうって話してたんですけど、「さすがにそれは」となり(笑)。今の形になりました。
歌詞を原案にして、それをもとにした物語というか、三国志があった上で派生したアニメやゲームってあるじゃないですか。そんな風に同じ世界観、同じ軸で作ったアナザーストーリーになっています。
そういう今までと違うやり方は面白かったですね。
――2016年はvistlip、海さんにとってどんな年でしたか?
海:「Good vibes CIRCUIT II’TURBO 」というツアーをやってて、ライブばかりしてました。本当に家にいなかった!
最近、ツアーといってもライブをしたらすぐ次の土地に行く……みたいなのが多いじゃないですか、他のバンドをみても。
地方のファンからも「○○にはこういう名物があります」というメールや手紙が届くんですが、まあ、俺の場合はだいたいラーメン屋情報なんですけど(笑)。そういうところにも普段はなかなか行けないし、それどころか極論ライブハウスの記憶しかない、みたいな。それに違和感があって。
今回は地域密着じゃないですけど、可能な限り「この街に来てるんだよ」ということをファンの子たちに伝えたかったし、自分たちも感じたかった。
行ったところのある土地でも、違う街、やったことないライブハウスでやりたいと。
――それをやろうとした理由は? たとえば「マンネリを打破したい」とか。
海:そうっすね、単純に同じところでばかりやってても、面白くねーなみたいな(笑)。
「マンネリを打破しよう!」みたいな真面目な考えというよりも、「前と同じでも面白くねーべや?」くらいのノリです。
やっぱり地方の小さなライブハウスだと、過酷な環境だったりするんですよ。狭くて暑くて天井低くて俺の目の前は壁! みたいな会場もあるんです。でも「やってみないとわからない」じゃないですか。
たとえば楽屋にトイレがないところもあるんですよ。だからそういうときはアンコールの間に、直接「便所行ってくるから通してくれ!」って客席に降りてやりましたけど(笑)。
――それはレアな光景ですね(笑)。
海:毎回それをやるのは問題だけど、そういうのも含めて「面白いな」と。メンバーも見てるファンの子たちもそれを感じたと思います。
――それを楽しめる関係というのは、バンドとファンにとっては良いことかもしれませんね。
海:良いのか悪いのか(笑)。見に来てくれる子たちが楽しんでくれてるのも多いと思うんですけど、「どうしよう」っていう状況があっても、その場で考えられるライブをできるようになった。
たまに洒落にならないところもありましたけどね。手を上げた瞬間バーンって当たるとか、お立ち台に飛び乗ると柱に頭をぶつけるみたいな(笑)。
「Good vibes CIRCUIT」をやっているうちに、皆慣れたのか、自然なライブができるようになったというか、メリハリのあるライブというか、スイッチの入れ方は皆うまくなった。
でもそんなことをしたら月の半分は出ずっぱりで東京にいないという日々が続いて、たまに東京に戻ったら一週間打ち合わせばっかり!みたいな(苦笑)。
そんな中でイベント出演をやったり、LSV(lynch.、SuG、vistlipの3バンドで行ったツアー)をやったり……。本当にライブばっかりやってましたね。落ち着く暇がない。
――精力的に活動されていたんですね。
海:傍から見たらバカみたいに思われたかもしれないですね。それだけライブをしたかったというか、ライブが少なかった去年(2015年)の反動かもしれない。