4月6日、『全日本体操個人総合選手権』を前に、内村航平が記者会見を行った。内村にとって『リオ五輪』後初の大会であり、プロ転向後初の試合であり、10連覇がかかる重要な演技である。さまざまな重圧がかかる状況だが、そこは『五輪』で7個、『世界選手権』で19個ものメダルを獲得してきた日本のエース、気負いや気後れは一切ない。内村は「まず『リオ五輪』から試合に出ておらず、ケガもして復帰戦。プロになって第1戦、ルールも変わり、日本で一番大きな大会。いろいろ大きな変化もあるが、やることは変わらない」とキッパリ。さらに「(10連覇とか)そういうことを気にしていられないほど、自分のことでいっぱいいっぱい。自分がどれだけできるか。ここまできたら、結果ではない。自分のできることを最大限にやる」と続けた。
しかし、プロ転向初戦までの道のりは決して平坦ではなかった。内村が振り返る。
「昨年12月に始動し、試合に出られる体にするのは、きつかったが順調にいった。それから演技構成を決める段階になって、今までにないくらいしんどかった。これまでの体操人生にないほど、調子が悪かった。ここがどん底だと思っていたら、さらに下があった。そうしたら、佐藤(寛朗コーチ)から『そんな時もありますよ』と軽く言われた。『東京五輪』まで時間もあるし、気分的に楽になった」
新ルールには演技の難度を下げて対応する。内村は言う。
「15点台が出ないルールになった。いい演技をしても14点台だと精神的にきついが、着地の精度を見せていきたい。難度を落とした構成になるが、自分の目指す美しい演技をしたい。美しい体操はいつどんな場合でも評価されないといけない。低い難度でも美しい体操をしないといけない」
『五輪』後に難度を落とすのは、『ロンドン五輪』から『リオ五輪』への流れと同じである。内村は3年後の『東京五輪』を睨む。
「狙ったわけではないが、ロンドンが終わってリオに向かう時も一度難度を落とした。4年でしっかり演技を作っていくリズムができている。『東京五輪』に向けて、ベースとなる演技はできた」
『第71回 全日本体操個人総合選手権』は4月7日(金)~9日(日)・東京体育館にて開催。7日(金)は開会式とともに男子・女子予選、8日(土)は男子種目別選手権トライアル、9日(日)は男子・女子決勝が行われる。チケット発売中。