事業推進チーム長の原晋也さん

スクリーンの色、材質、映写窓もクオリティーが一番高いものを選択

こだわったのは映画館としてのクオリティー。メインシアターのドルビーシネマを始め、全スクリーンRGBの4Kレーザーを、T・ジョイとしては初めて導入。これまで以上の高輝度、ハイコントラストな映像表現を実現した。

「当社では、その時選択できる一番いいものを、と考えています。細かい話ですが、スクリーンの色、材質、映写窓も一番クオリティーが高いものを選んでいます」と話す。

左右対称のシンプルな廊下。キューブリック監督作を彷彿させる美しいデザイン
9階のラウンジ。大型ビジョンも完備し、待合室として、イベントスペースとしても使える

全体としてはシンプルなデザインが特徴。旅に出たい気持ちにさせる演出が随所にある。

9階には、大型ビジョンを兼ね備えたラウンジもあり、あたかも空港やリゾートホテルみたいな気分が味わえる。ここでは、アフタートークのイベントなども考えているという。

T・ジョイ横浜もコロナ禍に見舞われ、オープンが当初の5月30日から大きくずれ込んだ。全興連のガイドラインに沿った対策だけではなく、デルフィーノ社による抗菌コートなど独自の対策も実施。

オンライン映画予約サービス「KINEZO(キネゾー)」もリニューアル。T・ジョイ横浜では秋以降、スマホアプリのKINEZOとSuicaを連携することで、自動発券機を通すことなく、スマホやSuicaを機械にタッチするだけで、各スクリーンに直接入れるようになる。

コロナ禍でソーシャル・ディスタンスの大切さが言われる中、非接触型の入場システムは効果を発揮しそうだ。

1日の上映本数は20本前後を予定。目下、日本初上映となるドルビーシアター版『ベイビー・ドライバー』を始め、人気舞台を映像化した「ゲキ✕シネ」シリーズの『薔薇とサムライ』、

『ソニック・ザ・ムービー』、『ランボー ラスト・ブラッド』『ドクター・ドリトル』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』といった新作、スタジオジブリ作品や人気作『TIGER & BUNNY』シリーズなどアニメ旧作などを混じえて上映。

駅チカの利点を生かし、レイトショーは23時台終映までフル回転だ。

「配給会社も徐々に新作も出していただけるようになっているので、夏に向けて、お客さんを迎える体制を作っておかないと。作品が先か、お客さんが来ることが先か、ということもありますが、各社協力し合っていかないと進めない。歴代最高興収を記録した昨年に戻るのは相当難しいことだと思いますが、せめて7〜8割には戻りたいですね」と原さん。

コロナ禍の中、観客に安心を届けながら、新しい映画体験を提供していく考えだ。

ぴあアプリ連載「平辻哲也 発信する!映画館 ~シネコン・SNSの時代に~」第40回から転載

映画館データ

T・ジョイ横浜

住所:神奈川県横浜市西区南幸一丁目1番1号JR横浜タワー内8階
電話:045-534-5680
公式サイト:T・ジョイ横浜

ひらつじ・てつや:1968年、東京生まれ、千葉育ち。映画ジャーナリスト。法政大学卒業後、報知新聞社に入社。映画記者として活躍、10年以上芸能デスクをつとめ、2015年に退社。以降はフリーで活動。趣味はサッカー観戦と自転車。

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