『ザ・グレイト文楽』 『ザ・グレイト文楽』

コロナ禍で公演中止が続いていた大阪・国立文楽劇場にて、本公演再開の直前となる10月21日(水)・22日(木)、企画公演を開催。人形遣い・桐竹勘十郎とチェリスト・宮田 大による「BUNRAKU」スペシャルコラボが実現する。

特別企画として上演される「無伴奏チェロのための『BUNRAKU』」は、作曲家・黛 敏郎が日本の三大芸能のひとつである文楽の世界を、西洋楽器であるチェロで表現した楽曲。今回は指揮者・小澤征爾にもその実力を絶賛され、世界中で活動している、日本を代表するチェリスト宮田 大が演奏。その太夫の語りや三味線の音色を彷彿とさせる旋律に合わせて、桐竹勘十郎が『関寺小町』をイメージした演技を披露する。

また、文楽の上演演目は、日本の四季をイメージした舞踊4部作『花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)』で、『万才』『海女』『関寺小町』『鷺娘』の四段からなる舞踊劇。太夫と三味線による浄瑠璃に合わせて人形が踊る、観て楽しい、聴いて楽しい演目だ。中でも『関寺小町』は、秋の情景とともに、老婆となった小野小町が若く華やかだった頃を偲ぶ様を描く人形浄瑠璃の名作。桐竹勘十郎が初役で挑む。

チェロの音に合わせて舞う『関寺小町』と、後の太夫・三味線と演じる『関寺小町』との見比べや、チェロと太棹三味線の音楽表現比べができるのは、企画公演ならでは。公演に向けて宮田は「桐竹勘十郎さんとはテレビ番組で初共演し、舞台公演でも一度共演させていただいております。これまで文楽の世界と、西洋のクラシック音楽はあまり交流がなかったのですが、作曲家の黛 敏郎さんがチェロ独奏の『BUNRAKU』と言う作品を生み出してくださり、また勘十郎さんがチェロをお好きということもあり、同じ舞台で共に演じることができるきっかけとなりました。なかなか演奏することのできない国立文楽劇場で、日本と西洋の芸術が一つとなり他では味わえない勘十郎さんとの一期一会の再共演がとても楽しみです 」とコメント。

勘十郎は「新型コロナウイルス感染症で、特に演劇界はまだまだ先が見えないという状況です。しかし文楽の再開を望んで待っておられる方はたくさんおられます。こんなことで、何百年も大阪で守り育てられてきた芸能が無くなってしまうはずがございません。体力、気力を落とさないよう、できることを少しずつでもやっておりますので、大阪での文楽再開、ぜひとも無事につとめたいと思っています。私たちのお芝居が以前と変わらずつとめられていたら、温かい拍手を頂戴いたしたいと思います」と、大阪での文楽再開へ熱い想いを寄せた。

国立文楽劇場では、太夫・三味線・人形遣いによる上演時の飛沫の飛散状況を検証するなど、文楽公演の再開に向けて精一杯の準備を整えて臨む。満を持して開催する⽂楽再開スペシャル公演にご期待を。

公演は10月21日(水)・22日(木)大阪・国立文楽劇場にて。9月26日(土)一般発売開始。