ミュージカル『ビリー・エリオット~リトルダンサー~』 撮影:源賀津己

9月11日に開幕したミュージカル『ビリー・エリオット~リトルダンサー~』。オープニング期間を経て16日から本公演を控える中、プレスコールとキャストによる質疑応答が行われた。

1984年のサッチャー政権下、労働者のストライキに揺れるイングランド北部の炭鉱町を舞台に、バレエに活路を見出した少年が夢に向かって突き進む姿を描いた本作。エルトン・ジョンの音楽が加わり、映画からミュージカルへ進化を遂げたこの作品は2017年に日本で初演されると約16万人を動員。菊田一夫演劇賞大賞、読売演劇大賞選考委員特別賞などを獲得した。

待望の再演となる今回、タイトルロールのビリー役をクワトロキャストで務める川口調・利田太一・中村海琉・渡部出日寿の4人は、応募総数約1,500通から選ばれた逸材。コロナ禍で発令された緊急事態宣言の影響で2ヵ月ほど稽古が中断され、73公演が中止となったあとの“門出”に「やっと本番の舞台に立ってビリーを演じられることが本当に嬉しいです!」と全員が瞳を輝かせる。

そんな彼らを背後から見守っていたお父さん役の益岡徹は、初演を経験していることに触れ「自慢の“息子”がまた増えました」「信頼できる仲間と11月まで宝物のような時間を過ごしたい」と笑顔。同じく初演からウィルキンソン先生を演じている柚希礼音も「コロナで明日も幕が無事に開くかわからない状況だからこそ、毎公演を大切にしたいと思う気持ちがより強くなった」と続く。

Wキャストであるお父さん役の橋本さとし、ウィルキンソン先生の安蘭けいは再演版からの参加キャスト。ともに日本初演版に感化されオーディションに参加し、役を掴み取った経緯があることから、橋本は「何度号泣したか知れない作品に出演できて本当に嬉しい」、安蘭も「ビリーのように夢が叶った気分ですね」とカンパニーの一員になれた喜びを語った。

プレスコールで報道陣に公開されたのは、川口・利田・中村・渡部がそれぞれビリー役を務める5シーン。オープニングを飾るナンバー「The Stars Look Down」では重厚感あるステージングが展開され、安蘭扮するウィルキンソン先生らによるナンバー「Shine」では、中村演じるビリーがアンサンブルのバレエガールズとともに羽根を用いた華やかなダンスを披露した。

続く「Expressing Yourself」では、利田演じるビリーと佐野航太郎によるマイケルがカラフルな衣裳で歌い踊る。バレエスクールの受験を禁じられた怒りが爆発する「Angry Dance」では、川口演じるビリーが力強いタップを踏んで観客を魅了。炭鉱夫のストライキとバレエレッスンの様子が交差する「Solidarity」では、渡部演じるビリーが堂々とダンスを繰り広げた。上演時間は約180分(休憩含む2幕)。

公演は10月17日(土)まで、東京・TBS 赤坂ACTシアターにて。その後、10月30日(金)~11月14日(土)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールと巡演する。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代