今月初旬、少年ジャンプで連載中の人気漫画
『ONE PIECE』最新巻(67巻)の発行部数が405万部に達したと発表されて話題となった。この出版不況が叫ばれているおり、コミック単巻の、しかも初版だけで400万部とは想像を絶する数字だ。さぞや作者は儲かっているだろうな……と想像した人も多いだろう。

そこで今回は、プロ漫画家が実際に儲かっているのか、収入と支出はどの程度なのかを調べてみた。きちんとソースがある情報から、推定値、フィクション、噂レベルの話までさまざまだが、できるだけデータ出典元を明らかにしながら語っていきたい。

(※記事中の個人名はすべて敬称略です)

 

■『ONE PIECE』の印税額を計算してみる

まずは『ONE PIECE』作者、尾田栄一郎の収入から見てみよう。彼の年収は推計値の出どころによって異なるが、おおむね20億以上というのは共通している。昨年放送された某バラエティ番組内では約31億円と推定されていた。

実際、印税収入だけならそう計算は難しくはない。部数の基準を売上数ではなく発行数、単行本価格を税込、印税率を10%と仮定して計算する。

コミックス最新巻を例にすると、
405万部(発行)×420円(価格)×10%(印税率)=約1億7000万円

わずか1冊でサラリーマン生涯賃金の半分以上を稼いでいる計算だ。週刊連載なので単行本は年4冊発売。ここ最近は400万部ペースを維持しているため、単純に4倍すれば単行本の印税だけで年間6億8000万円に達する。

これに膨大な『ONE PIECE』グッズの版権料、テレビアニメや映画の放映権、ゲーム化の権利料、原稿そのものの対価(原稿料)、ジャンプ連載作家の場合は年間契約料(プロ野球選手の年俸のようなもの)などが加わる。所得税でごっそり持っていかれたとしても年収20億を超えるのはそう不思議ではない。