■原稿料やアシスタント代、金額はいくら?

印税の話はさておき、それ以外の収入やコストについても断片的な情報を拾ってみたい。漫画界の最難関・週刊少年ジャンプを主戦場に、一流漫画家をめざす若者の青春を描いた『バクマン。』は業界の事情が詳しく描かれていて、参考になる情報が多い。持ち込み原稿を認められ、初めて作品が掲載された主人公たちは「新人はみんな1ページ9000円の原稿料」と言われている。その後、連載作家になると毎年の貢献度に応じて、年間契約料や原稿料単価がアップしていく仕組みのようだ。

なお『バクマン。』の主人公コンビもそうだが、作画(絵)担当と原作(ストーリー)担当が分かれている場合、その報酬は平等に折半するケースが多いらしい。ただし漫画家と原作者の役割分担はあいまいで、ときに報酬額や著作権をめぐって争いになるケースもある。訴訟までいったトラブルとしては『軍鶏』『キャンディキャンディ』などが有名だ。

訴訟といえば、それをきっかけに原稿料や契約方法などが明らかになったケースもあった。編集部が原稿を紛失したことがきっかけで、大ヒット漫画『金色のガッシュ!!』作者の雷句誠が小学館を訴えたニュースは記憶している方も多いのではないだろうか。
作者の旧ブログ[https://88552772.at.webry.info/200806/article_2.html] に訴状内容が丸ごと残っていることから、相当本気で怒っていたのがわかる。

これによれば『金色のガッシュ!!』の原稿料は“白黒原稿が1ページ1万円(後に小学館漫画賞受賞により1万3000円にアップした)、カラー原稿が1ページ1万4000円(その後1万7000円にアップした)であった(いずれも口約束)”と記載されている。週刊少年サンデーの原稿料相場と、貢献度によって単価がアップするという裏付け、さらに契約が口約束だったことなど、訴状を読むだけで多くの内部事情が見て取れる。

さらに極めつけの情報源は、先にも登場した「漫画 on Web」代表・佐藤秀峰の日記ページだ。トップページの検索ウィンドウに「原稿料」「企画料」などキーワードを入れてみると“そこまで暴露していいんですか!?”と心配したくなるほど赤裸々な漫画家事情が出てくる。

漫画家生活12年目の現在、年間450ページを描いて原稿料が約1600万円。アシスタントを6人雇い、保険料込みの人件費は年間約1800万円。ほかに印税やサイト運営の利益などで生活を成り立たせているようだが、『ブラックジャックによろしく』をシリーズ累計1000万部以上売ったメジャー漫画家としては、意外とつつましい数字にも感じられた。

20代後半や30代で脱サラしてプロの漫画家になった人もいる。……が、ごくごく一部の超売れっ子作家を別として、ここに挙げたように現実は決して楽ではない。それでもこの職業に踏みとどまり、少しでもおもしろい作品を仕上げようとする彼ら彼女らへ、あらためて敬意を払いながら漫画を読んでいこうと思った。

投票受付中

関連リサーチ
漫画家の職業イメージ、当てはまるのはどれ? [ https://ure.pia.co.jp/articles/-/8307 ]

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。