(画像左から)安蘭けい、柚希礼音 撮影:源賀津己

2017年に日本初演され、再演が待ち望まれていたミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』が9月に幕を開ける。バレエダンサーになる夢を抱える主人公ビリーにレッスンを申し出る“ウィルキンソン先生”をWキャストで務める柚希礼音と安蘭けいに話を聞いた。

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1984年のサッチャー政権下、労働者のストライキに揺れるイングランド北部の炭鉱町を舞台に、バレエに活路を見出した少年が夢に向かって突き進む姿を描いた本作。エルトン・ジョンの音楽が加わり、映画からミュージカルへ進化を遂げた本作は日本で初演されると約16万人を動員。菊田一夫演劇賞大賞、読売演劇大賞選考委員特別賞などを獲得した。

日本初演に引き続いて同じ役を演じる柚希は「初演をなぞるだけではダメ」「より新鮮で血の通った人物をお見せしなければ」と背筋を伸ばす。再演版から参加する安蘭は、ニューヨークで本作を鑑賞するほどの作品ファン。日本初演も欠かさず観て「ウィルキンソン先生の人物像を詳しく知ったら演じてみたくなった」と語り、オーディションで役を勝ち取ったエピソードを明かした。

宝塚歌劇で星組在籍時代にトップスターと二番手の関係だった二人。安蘭が退団してから10年ぶりに再会したという。柚希が当時を「瞳子さん(安蘭の愛称)との実力差で、何をやっても間違っている気がしていた」と振り返ると、安蘭は「ちえ(柚希の愛称)もトップを何年も務めて経験を積み、実力をつけて今の位置にいるんだから」とフォロー。本公演と新人公演でともに同じ役を演じた過去を紹介し、「当時は私がちえに教える立場だったけど、今は役に対してお互い対等に意見を言い合う“同志”だね」とほほ笑んだ。

コロナ禍の今、本作を上演する意義はどこにあるか──。最後にそう尋ねると、柚希は「ビリーを取り巻く大人たちの思いやり、人と人を結ぶ“絆”の力を感じられる作品です」とまっすぐに答える。対する安蘭は、炭鉱町で不況にあえぐ劇中の登場人物とコロナ禍を嘆く現代人の姿が重なると分析。「その中でも夢を持つことがどれだけ尊く希望になるか、舞台を通じて感じ取ってもらえたら」と語った。

オープニング公演は9月11日(金)~14日(月)、東京公演は16日(水)~10月17日(土)、ともに東京・TBS 赤坂ACTシアターにて。その後、10月30日(金)~11月14日(土)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールと巡演する。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代

【安蘭けい衣装】
ワンピース¥39,000/グレースコンチネンタル
ピアス¥4,419/アビステ
パンプス¥16,000/ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)

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