コミックスはリイド社から165巻まで発売中。9月5日には166巻が発売予定です。また文庫版やコンビニ向けの安価版も発売されています。ただ連載開始から40年以上経っていることで、先に書いたゴルゴ13の出生などは、ある意味で破綻しているとも考えられます。今後もどこまで連載が続いていくのかは不明ですが、ナチスの残党を滅ぼし、冷戦終了を乗り越え、ネット社会も凌駕したゴルゴ13の活躍は続きそうです。
世界どころか宇宙にも広がるゴルゴ13の活動範囲、もちろんアメリカ大統領選挙の話も幾度も登場します。話によっては、地名や人名などを変えている場合もあるものの、容易に背景を想像することが可能です。
日本では小選挙区制と共に自民党と民主党が一応の二大政党になっており、アメリカでは民主党と共和党に分かれています。大きな特色では、民主党がリベラル(革新的)な目標を掲げ、労働者やアフリカ系アメリカ人やヒスパニック(ラテンアメリカ系)など、またハリウッド俳優など芸能人の支持も多くなっています。一方の共和党は保守的なイメージが強く、企業者、富裕層、宗教層などの支持が多く集まっています。ただし明確に分かれているわけではなく、状況によってどちらかに針が大きく振れる場合もあります。
アメリカ大統領になるためには、民主党と共和党の予備選挙で、候補者になる必要があります。他にもアメリカ緑の党やリバタリアン党などがありますが、序盤にニュースになる程度で、本格的に候補者になることはありません。予備選挙は年明けから5、6月まで行われ、最初に何人もの立候補者が現れるものの、劣勢な候補者が退陣表明をして次第に絞られていきます。そして最終的に代議員の過半数の支持を得た候補者が、民主党や共和党の大統領候補者として対決することになります。
「ゴルゴ13」ではコミックス48巻の「ビハインド・ザ・プレジデント」で予備選挙の場面が、コミックス35巻の「神に贈られし物」で大統領指名大会の場面が出てきます。どちらもターゲットとなるのが、大統領候補者のブレーン(参謀)です。『候補者本人じゃないの?』と思うかもしれませんが、それだけ選挙参謀の占める役割は大きく、表舞台にこそ立ちませんがキーパーソンとしての重要さを物語っています。もっとも有名人である候補者本人をターゲットにするのは、物語上のリスクが大きいとも見ることができるでしょう。漫画内で殺してしまっても、現実ではピンピンしてるわけですから。なので狙われるとすれば、アメリカやロシアの大統領は真っ先にターゲットになりそうなものですが、依頼人の腰が引けてしまうのか、そんな話はあまり出てきません。