今から30年以上も前、1980年代初頭。日本の文房具メーカー「オート株式会社」から画期的な用紙綴じツールが発売されました。「ガチャック」です。これは「ガチャ玉」と呼ばれステンレススチールで出来た綴じ金具と、束ねた用紙にガチャ玉を打ち込む専用のツールで構成された商品。ガチャックを使って2枚から35枚程度までの用紙を面倒な操作無く、その名のごとく「ガチャッ」の一音で簡単に綴じることが実現しました。
(ガチャックについては、わが東京小猫商会の宇井野研究員も3月のレポートで紹介 [ https://ure.pia.co.jp/articles/-/3828 ] 済ですが、ガチャックLOVERSの私としましては、ここでいまいちど掘り下げてみたいと思います。)
文房具をツブサにwatchしていた自分にとって、当時ガチャックの登場は衝撃的。日々苦労していた大量枚数のレポートがこれ1発で「大人しく」なってしまうため、本当に重宝したものでした。エピソードもあります。ガチャックならば瞬間に冊子として仕立てられるので、学内の図書館で提出期限ぎりぎりまでレポートのページ順や内容を吟味して、最後に「ガチャック一発綴じ」。研究室に提出というカルワザを繰り返していました。
いまいちどガチャックのメリットを挙げてみましょう。用紙35枚程度まで特段の意識をせず同じ所作で綴じることができる。ホチキスのように用紙に穴をあけない・傷めない。ガチャ玉は外して再利用ができる。一連の綴じ作業は軽快で手指の疲れも少なく、仕事の効率アップにも確実な効果が期待できます。なにより、綴じた状態の「見た目がクール!」。
もしユーザーが私と同様「文具好き」ばかりだったならば、今みたいにWebがあったならば、ガチャックは30年前の時点で瞬時に大ヒットとなり、早くから標準的な綴じツールになっていたかもしれません。実際には現在まで、ガチャックはなかなか一般に知られることがなく、熱心なユーザー達に支えられて育ってきたという印象です。