若者の読書離れが叫ばれるようになって久しいが、最近は漫画大国ニッポンで“若者の漫画離れ”を指摘する声も増えてきた。極端な例だと、今年1月にツイッター上で「漫画を読めない子供が増えてきている」「文字や絵の流れをつなげて話を理解できない」という発言がきっかけで多くのユーザーを巻き込んだ議論が勃発。客観的な数値こそ出ていないが、プロ漫画家や業界関係者から賛同の意見が寄せられた。

実際に日本雑誌協会でコミック誌発行部数を確認したところ、若者向けだけでなく全体の発行部数が減少傾向にあるようだ。データが公開されている2008年からの4年間で比較すると、メジャー誌のなかで唯一微増している週刊少年ジャンプ(おそらく『ONE PIECE』効果か)を例外として、どのコミック誌も揃って20%ほど部数がダウンしている。ただ、やはり約40%減と極端な不振を示しているのが少年誌の週刊少年サンデーであること、20~30代以上の大人はパソコンやスマホで読める電子コミックの中心利用者層であることを考えれば、相対的に“若者が漫画離れしている”のは正しいと言えるかもしれない。

さて、このように消費者側(読者)の年齢が話題となることは多いが、意外と私たちは生産者である漫画家の年齢について知らない。あの漫画家は何歳なのか? 漫画家は何歳くらいでデビューするのか? どこまで現役を続けられるのか? ……今回はそのあたりを調べてみたのでレポートしたい。

■売れ筋を支えるのは30代作者、漫画賞の獲得年齢は賞によりけり

2011年に日経エンタテインメント!誌が発表したコミックス売上部数ランキングは、部数だけでなく作者の年齢まで一覧できて参考になる。『ONE PIECE』の尾田栄一郎氏、『鋼の錬金術師』の荒川弘氏をはじめ、トップ10のうち8割が30代。50位まで眺めてみても30代作者が最多で、次いで40代、20代の順になっている。また、40代といっても書かれている作品名で調べてみれば分かるが、ほとんどが30代の時点に連載スタートした作品ばかりだ。売上げ部数から判断するかぎり“30代の漫画家強し!”と言えるだろう。

ちなみに漫画家のステイタスとして重要な各種「漫画賞」の受賞年齢をざっくり見てみると、必ずしも30代の漫画家が圧倒的多数にはなっていない。比較的40代以上のベテラン層が目立つ小学館漫画賞、30代が多めなのは講談社漫画賞とマンガ大賞、50代~60代もどんどん受賞している手塚治虫文化賞など、賞によって傾向が異なる。知名度の高くない漫画家を積極的に掘り起こしたいか、すでに評価の固まった漫画家へ栄誉を贈りたいか……こうした主催者側のスタンスの違いが受賞作家の年齢層にも表れているようだ。