昨年8月の公演が好評を博した舞台『知恵と希望と極悪キノコ』が2021年2月に再演される。出演する富田翔と十碧れいやに話を聞いた。

『知恵と希望と極悪キノコ』は、人情喜劇を得意とする大浜直樹が主宰する劇団LIVESにて初演した作品で、売れない俳優が俳優生活最後に挑む映画の撮影現場を舞台にした人情喜劇。出演は、富田、十碧のほか、佐藤弘樹、山沖勇輝、古賀成美、末永みゆ、雑賀克郎、三浦ゆうすけら。

主演の富田は「この作品で描かれる、夢とか希望とか挫折とかそういうものは、普段は少し気恥しいものですが、今の時代ならひねらずにまっすぐに届けられるのではないかと思いました。というのも、このコロナ禍で、どの業界もそうですが、エンターテインメントの世界も厳しくなって。諦める人や辞める人も多かった。そういう今だからこそ届けたいメッセージが、この作品にはあると思ったので。それをコメディでやれるのは最高です」と語る。

富田は主人公の売れない俳優“戦闘員A”を演じることが決定しているが、それ以外の役は読み合わせをしてから決まるという。十碧は「いろんなキャラクターが登場しますし、どの役が演じられるんだろうなと楽しみにしつつも、それぞれキャラが濃いので、どの役でどうキャラを出していけるかなといろいろ想像しています」と楽しみにしているそう。気になる役は?と尋ねると「監督と大御所俳優さん(笑)。自分と全然違う役は、やっぱり惹かれますね」。富田はかつて『爆竜戦隊アバレンジャー』でアバレブルー/三条幸人役という“戦闘員A”とは真逆の役を演じた経験も。「この舞台で描かれている状況のリアルなところも知っているし、“戦闘員A”のような役で登場し、爪痕を残してやろうとしている人たちの気持ちもわかります。だからこそエネルギッシュに演じたいです」。

富田も十碧も初共演のキャストだらけという座組。作・演出の大浜とも初めてだそうで、「身ひとつで臨める感じが楽しみ」(富田)「いい緊張感がありそう」(十碧)と新鮮な芝居になりそう。「今はコミュニケーションを取るのが難しい状況になっちゃいましたが、それでもできるだけコミュニケーションを大切にしたい作品だなとは思っています。それができれば本当の撮影現場を観ているような作品になるんじゃないかな」(富田)

十碧が「温かい気持ちになる」と語る舞台『知恵と希望と極悪キノコ』は2021年2月23日(火・祝)から28日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて。

文・中川實穂