誰よりも多く仕事をさばき、自己アピール能力に長け、付き合いがいい――
そうした“できるビジネスパーソン”のイメージが、実は仕事効率を下げる原因となっている。
捨てるべき4つの「常識」を紹介しよう。
“職場の常識”が生産性を下げている!
仕事内容をシンプルに整理し、効率化するためには、まず何を“捨てる”べきなのだろう? 四角大輔さんによると、「第一に、“常識”だと思い込んでいるものを捨てることが重要」。その中のひとつが“付き合い”での飲み会など、社会の「暗黙のルール」だと言う。
「“飲み会”は重要な社内コミュニケーションの場として捉えられてきましたが、仕事のグチや上司の陰口に終始するケースも多く、総じて生産性が高いものではありません。それならば、“明文化されたルールではないのだから”と割り切り、きっぱり断って、自分の好きなこと、本来やるべきことに時間を費やしたほうが有意義です」
四角さん自身、営業マン時代に社内の飲み会を断るようになり、最初は白い目で見られた。しかし、やがて「こいつはそういうスタイルなんだ」と諦めてくれるように。さらに5年ほど経つと、自分の時間を確保して心も体もリフレッシュすることで仕事効率が上がり、周囲を納得させることができたそう。
他にも、上司や先輩の仕事が終わっていないため定時に退社しづらいといった“サービス残業”が暗黙のルールになっている会社も少なくないが、四角さんはこれも捨てるべきと言う。
「ときには深夜まで頑張るのもいいでしょう。しかし、日常的に残業を行うなど、無理をすると心身ともに疲労が蓄積し、結果として仕事効率が格段に落ちます。それが重大なミスにつながってしまうこともあるので、基本的には早く帰り、コンディションを整えた方がいい」
そして、四角さんが仕事で何より重視しているのは、「苦手な作業」を迷わず捨てて、得意分野に集中すること。パフォーマンスを向上させるためには、「自分でなんでもやる」ことより、「やらない」という判断が大切なのだと言う。
「仕事が自分で選べるフリーランスはもちろんのこと、組織人にも同じことが言えます。自分にとって苦手で時間がかかってしまう作業も、他の人なら難なく終わらせられるかもしれないし、逆もまたしかり。個々人が『自分の仕事』という範囲を広く捉えすぎ、苦手なことまで抱え込んでいると、チームとしての生産性は上がりません。自分と周囲の人の長所をしっかり把握し、自分の得意分野で組織に貢献できるよう、上司や同僚としっかり話し合うべきです。理想論だと笑う人もいるでしょうが、“できることを引き受け、できないことは任せる”というシンプルな考えで回る環境を作ることで、個人だけでなく組織としての仕事のクオリティもグンと上がります」
その上で、「自分に過剰な期待をしたり、実際の能力以上に大きく見せようとする必要はない」と四角さん。自分の性格や能力とシンプルに向き合い、無理なく仕事をする習慣をつけ、実績を積み上げることが大切。
「必ずしも、目標を高くする必要はありません。高いハードルに挑んでは失敗を繰り返し、できない自分を責め続けていては、本来持っている能力を存分に発揮することもできなくなる。昔の僕がそうでした。実力以上の力を発揮する方法を考えるのではなく、あくまで“自己ベスト”を目指し、小さな結果を重ねること。その先に、必ず確かな手応えを感じられるはずです」
四角さんが「捨てる」ことを推奨するのは、情報過多の時代だからこそ不要なものをそぎ落とし、自分自身を見つめ直すことが、仕事で実力を発揮する近道だと確信しているからだ。肩肘張らずに成功する仕事体質を手に入れるため、まずは思い切って「今までの仕事の常識」を捨ててみよう。