松竹は来春新しく開場する歌舞伎座(東京・銀座)と複合施設についての概要を9月25日に発表した。歌舞伎座は建物の老朽化に伴い、2010年5月より建て替え工事中。1889年の開場から4度の建て替えを経て2013年4月、第5期の劇場として新しく生まれ変わる。
会見で大谷信義会長は「第4期の歌舞伎座の面影を継承しながら、最新の舞台機構を備えました。世界に誇れる歌舞伎の殿堂として、またわが国の古典芸能の拠点として充実したエンタテインメントを歌舞伎座から発信していきたい」とコメントした。4月からの1年間は新開場こけら落とし公演として上演する。公演初日は2013年4月2日(火)。演劇本部長の安孫子正専務は「最初の3か月は大きい一座で素晴らしい配役でやります。また、大勢の観客の方に観てもらえるよう3部制の興行をさせていただきます。7月から9月の3か月は若い俳優が中心となった興行。秋から翌年にかけては通し狂言や新しい企画を次々と打ち出していきたい」と構想を明かした。
新しい歌舞伎座の座席数は1808席を予定。建て替え前の1867席から席数は減ったが、その代わりひとつの座席の横幅を3センチ、前後の幅を6センチ大きくし、現代人の体格に合わせてゆったり観劇できるようにした。また一幕見席は今までと同様、3階席の上に常設される。そのほか、1階後方にあった柱は取り除き、エレベーター、エスカレーターを設置。トイレも増設し、バリアフリーへの取り組みも行う。観劇時のサービスとして、イヤホンガイドは継続、さらに希望者には字幕ガイドを貸し出す。
また、歌舞伎座と一体となる形で「歌舞伎座タワー」を併設。このタワーと劇場を合わせて「GINZA KABUKIZA」と命名し、銀座のシンボルマークとして地域への貢献を目指す。タワーの5階には歌舞伎ギャラリーを開設し、衣裳や小道具などの展示、映像の紹介を予定している。