撮影:飯野高拓[梅棒]

“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンタテインメント集団・梅棒。彼らの新作、11th STAGE『ラヴ・ミー・ドゥー!!』が東京・サンシャイン劇場にて現在上演中だ。

3rd STAGE 『男なら、やってやれ!!』の数年後が描かれ、代表の伊藤今人を中心に、鶴野輝一、遠山晶司、塩野拓矢、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴が出演する本作。昨夏メンバーに加わった多和田任益のお披露目公演で、ゲストの押田岳、新垣里沙らが華を添えている。

アイドルオタクの内気な少年(多和田)、パーカーを特徴的に着こなすストリートギャング(押田)、歌とダンスをこよなく愛する少女(新垣)は、ある共通項から熱い友情を育むものの離れ離れに。数年後に再会を果たした3人の住む世界は、当時と圧倒的に異なっていて──。劇中は、これらの人間模様とアイドルオーディションの行方が同時進行で描かれる。

梅棒EXTRAシリーズ『ウチの親父が最強』へのゲスト出演を経て、メンバーとして初参加する多和田は終始、ネルシャツをボトムスにインしたオタクスタイル。頭にバンダナを巻き、デコうちわ&サイリウムを掲げるヲタ芸ダンスで“推しのいる尊さ”を全身で体現する。作・総合演出を務める伊藤が開幕に際して寄せた「愛するもののためならどんな困難も乗り越えられる」というコメントを象徴する存在に感じられた。

正統派のアイドルダンスで客席を魅了する新垣には、元・モーニング娘。である彼女らしい見どころも。本作のベースとなった『男なら、やってやれ!!』には新垣をモデルとする役が存在し、今回の続編に本人が出演するとあって、伊藤も「いよいよこの作品に魂が宿る」と感激しきりだ。喜怒哀楽を爆発させる巧みな表情にも注目したい。

主人公もヴィランも、愛する者を応援したい気持ちは一緒。これらが舞台上をほとばしる圧倒的なエネルギーや牽引力となって、ストーリーは輝きを増しながらぐんぐん進んでいった。“推し”のいる人すべての心に刺さるであろうステージ、ぜひご賞味あれ。

東京公演は2月28日(日)まで。その後、3月6日(土)〜7日(日)に愛知・ウィンクあいち、3月11日(木)〜14日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールと巡演する。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代