写真:源賀津己

ミュージカル『GHOST』が3月、東京・シアタークリエで上演される。原作は1990年に公開された映画『ゴースト/ニューヨークの幻』。暴漢に襲われた恋人モリーを助けたサムが、犯人追走ののちモリーのもとに戻ると、そこには血だまりに沈む自分がいて……。死してなお事件の真相を突き止め恋人を守りたいサム、突然いなくなった恋人への思いを捨てられないモリー、映画版にもましてふたりの深い愛が感動を呼ぶと評判を呼んだミュージカルの、待望の再演だ。主人公サム役の浦井健治、ヒロイン・モリーをダブルキャストで演じる咲妃みゆ、桜井玲香に話をきいた。

作品の見どころは「人と人の繋がり、寄り添う心のすばらしさ、そういうメッセージが込められているのが第一の魅力。このコロナ禍の時期だからこそ伝えられるものがあると思います」と浦井。咲妃は「楽曲での心情表現がかなり色濃く提示されます。映画とは違う角度からこの作品を楽しんでいただけるのでは」とミュージカル版ならではの魅力をアピールした。

2018年の日本初演では、日本版ならではの繊細な役作りにも評価が高かった。演じるサムについて浦井は「モリーを本当に愛しているのですが、言葉はなくても行動で示しているから伝わるよね、というタイプ。男性特有のわがままではありますが、照れもあるんです。そういう純粋さがある男です。右脳派左脳派でいったら右脳派、感覚人間」と分析。初演を経ての今回のサムは「今回、友人のカールを演じる水田航生君が、サムもモリ―も甘えられるカールという役作りをしています。そのトライアングルの中にいると、これくらい自由にいられるんだ、と楽しい。一方で直感的に動くサムにカールはかなわないと思っている、というのが面白い」と話した。

モリーについて「芯の強い女性というのは大切にしていかなければいけないところ」と話すのは咲妃。「ただ、我の強い女性ではない。サムのことを一途に愛していますが『幸せいっぱい!』という女性ではないのかなと思っています。アーティストとしても成功していきたいという強い気持ちがある。安定を幸せとしない女性なのかな」と話した。一方で桜井は「芯が強いだけじゃなくて優しさもあるので、ただ強い女性と表現しちゃいけないなと。でもまわりの人を動かす力がある女性ですよね。彼女が強い意志で何かを追求しようとしたからこそ、幽霊となったサムのことも感じられるんだと思います」。今回初参加、「難しい役です」と言葉を選びながら話す桜井に、「私もまだまだ研究段階」(咲妃)、「それぞれが、人間味あふれているよね」(浦井)と優しく声をかける先輩ふたりの姿も印象的だった。

「映画のもともと良いところを“良いとこどり”した上に、素晴らしい楽曲があわさり、さらに舞台ですから目の前で行われている分、ぐいっと一歩深く『GHOST』の世界に入り込めます」と桜井。公演は3月5日(金)から23日(火)までシアタークリエにて。その後愛知、大阪公演もあり。

(取材・文:平野祥恵)