ダンサー兼アーティストのasamicro(アサミクロ)が企画、演出、振付するegg lifeの旗揚げ公演『白く、壊れて、生まれる』が、2月27日、PIA LIVE STREAM で生配信された。神奈川県のSTスポットで開かれた無観客ライブで、3月6日(土)23:59までアーカイブで楽しめる。
asamicroは幼少のころからストリートダンスを始めた。2012年から朝ごはんや朝の時間を毎日撮影し続け、日々の暮らしや生活をテーマに踊り、映像、写真などで表現している。今回旗揚げにあたりegg lifeという名前には、「割った卵の殻のように、同じようで同じではない毎日への尊敬と愛情を込めた」という。
まず、友情出演の北川結(モモンガ・コンプレックス)がテーブルのまな板の上でゆで卵の殻をむいて壊す。「ひび割れた隙間からやつは流れ出る」などとナレーションが入り、北川がテーブルの椅子から崩れ落ち、フライパンの上に広がった卵の白身のようにのたうちまわる。「きみのいない完璧な丸い白が誕生した」という声とともに、本物の卵に囲まれた円形ステージでasamicroがゆっくりと踊り出す。体をうねらせたゆたったり、ロボットのように小刻みに震わせたり、ストリートダンスやコンテンポラリーダンスなどが交じったジャンルレスな踊りに釘付けになった。
途中で電車の音や横断歩道を渡る時に流れる鳥の声が入り、「卵が人間の胃の中に入り、一緒に仕事に行くのだろうか」と考えてしまう。公演のメイキングビデオでasamicroは「ストーリーは特別なものではなく、生活を頑張って生きている皆さんときっと何か共通することがあるはず」と話している。見る者それぞれが想像していいのだろう。明日、卵を割る時、自分の細胞が彼女たちのように踊ってくれたらいいのにと思う。後半には再び北川が登場し、二人で楽しげに所狭しとステージを跳ね回った。
続いての作品は、ダンサーのAtsumi、愛由、TETSUOが登場。ブレイクダンスやヒップホップなどの経歴を持つ3人が息ピッタリに踊る。無機質な音やアフリカの太鼓、犬の鳴き声のような音が入り混じり、猛々しかったり、洗練されていたり、機械的だったりする多様でスピーディーなパフォーマンスが楽しめた。次はどんな踊りか予測がつかない、asamicroの身体の可能性を無限大に使った振付もきいている。彼女は「明日、生きることが楽しくなり、何かいたずらしたくなるような気持ちになっていただけたら」と話している。egg lifeの誕生の時を、ぜひ、見届けてほしい。
3月6日(土)23:59までPIA LIVE STREAMにてアーカイブ配信中。
取材・文:米満ゆう子