建物の形態

宿坊というと風情のある歴史ある建物を思い描く人も多いだろう。しかし規模の大きなところでは敷地内にある近代的な建物に宿泊する場合も。やはり雰囲気は前者に勝るものはないが、冷暖房など設備の面では後者も捨てがたい。いずれにしても、朝の境内散歩やお勤め、ご祈祷など、宿坊ならではの体験をすることは可能だ。

食事の内容

前述のように、寺院系の宿坊では精進料理、神社系では肉魚類が並ぶこともある。近隣に飲食店がほとんどないような宿坊では1泊2食付きの場合も多いが、京都など便利なロケーションにあるところでは朝食のみや素泊まりというところも。逆に料理に力を入れており、精進料理と懐石料理を選べたり昼食だけでもいただけるという宿坊もあるので、興味のある人は値段などと一緒にチェックしてみては。

なお、宿坊に限った話ではないが、そばなど土地の名物を供するところも多いので、アレルギーのある人は事前に伝えておこう。

 

宿坊で体験できること

精神鍛錬を行って自らを磨き、向上することなどをめざす修行。基本的には仏教や修験道で推奨され、神道ではあまり見られない。なかには山中で修行を行ったりするところもあるが、これはその歴史上仏教や修験道などから何らかの影響を受けていたりする。

このように修行体験の有無は寺社で異なるほか、仏教でも宗派により違いがある。座禅を行いたいなら禅寺、護摩を体験したいなら密教系の寺などを選ぼう。タイミングによっては宿坊の都合で行われないこともあるので、朝のお勤めや坐禅、写経などの体験を希望する人は、時間や料金なども含め、サイト、電話等で必ず事前に確認を。

また、修行体験をより重視したいという人には、僧体験や修行研修というのもある。

 

宿泊の際に用意するもの

繰り返しになるが、似ているものの、宿坊はホテルや旅館など一般の宿泊施設ではない。トイレや洗面所も共同のところが多く、テレビなども置かれていなかったりする。なかには整えられた部屋にアメニティーグッズが備えられているところもあるが、基本的にはタオルや寝間着、シャンプー、歯磨きセットなどの洗面道具など、宿泊に必要なものは持参するようにしたい。もちろん少しでも身軽な旅をしたいという人は、予約の際などに備品の有無を確認しよう。

なお、比較的便利な場所にある宿坊であっても、いったんおじゃましたら、コンビニにちょっと調達に、という行動は慎むことをおすすめする。

宿坊のある場所

宿坊に一歩足を踏み入れたら、風の音など自然が身近に感じられる空間で、のんびり散策したり、庭を眺めたり。日常と切り離された、その場所でしか味わえない時間を満喫しよう。

宿坊は市街地から離れた山の上など、交通の便のよくない場所にある場合も多い。ふだんの感覚で行動しようとすると、電車やバスの本数が少ないうえに乗り継ぎもスムーズにいかず、思いがけない時間をとられることがある。それすら非日常として新鮮に受けとめるのもまた一興だが、宿坊の門限に遅れてしまってはしかたがない。行き方や時刻表などはあらかじめ調べていくよう心がけよう。地図は携帯電話でチェックすればいい、という感覚の人は、つながらないエリアもあることをお忘れなく。