恋愛、友情、家族……。さまざまな「別れ」を展示

国籍、宗教、文化にかかわらず、全ての人間が経験しているものといえば「出会い」であり「別れ」でしょう。

そんな「別れ」に焦点を当てた『「別れの博物館」あなたとわたしのお別れ展』が、アーツ千代田3331にて4月14日まで開催中です。

愛する人との何らかの関係が終わりを迎えた時、その時間を思い出すようなアイテムとそれにまつわるお話を展示しているのが、世界で唯一の「別れの博物館」。始まりは2006年で誕生地はクロアチアの首都ザグレブです。

世界各国から人々から別れにまつわる品々が寄せられるこの博物館は、各地を巡回しており日本では今回が初の開催となります。

3月30日に開催されたレセプションパーティーには、創設者であるオリンカ・ヴラシュティツァさんとドラジェン・グルビシッチさんがクロアチアからやって来てくれました。そういえば、2018年は日本・クロアチア外交関係樹立25周年です。

4年間恋愛関係にあった元カップルのおふたり。共に過ごした大事な時間を心の奥底にしまい込まず、「思い出の品物とお話」を展示してみてはどうだろう?と考え、小さなコンテナで博物館を始めたのです。

それにしても、元カレと元カノ同士が別れた後で一緒にプロジェクトを続けるだなんて、かなりハードな作業だと思うのだけど……。

「もちろん始めはとても難しい部分があったんですが、そのうち関係性が変わり今では新しい関係性を築けたようです」(オリンカさん)

やはり恋愛にまつわる「別れ」が多い

会場内に入ると、白を基調としたディスプレイが目を引きます。

「別れ」と言ったらドロドロしたイメージになりがちだけど、こんな風に展示されると美しき思い出に昇華しそう! ちなみに、フロアデザインを手掛けているのはドラジェンさんです。

もちろん、「別れ」は綺麗事だけでは済みません。例えば、『優柔不断なセーター』なる展示品にまつわるストーリーは、完全に悲哀です。

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“付き合い始めるや「究極のセーターがほしい」とリクエストしてきた彼。「ヘンリー編みがいい。いやいや、ケーブル編みかな」「色はグレーで。いや、やっぱりチャコールグレーかな」と常に変化する要望。彼とは3年間共に過ごしました。私より20歳も若い子と付き合うため、突然私を捨てるまでは……。”
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展示品『食べるダイエット』は、一見するとただの書籍。これにどんなストーリーがあるというのでしょう?

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“最後は憎しみに変わってしまった元婚約者への感情の原因を、この本は表している。彼は、最後まで私の体型が許せなかった。あんな男と結婚しなくてよかった!”
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『指輪』は、結婚へ至る前に別れを選んだ女性からの展示品です。

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“浮気をした私に彼は暴力を振るうようになった。親友から別れを進言されても、依存心が邪魔をしてできなかった。その後の彼は自分を改め、私達は愛し合うようになる。

そして、彼からプロポーズをされた。本当は彼の暴力はまだ治っていないだろうと思った私。結婚すると離れられなくなる。愛していたが、ようやく別れる決断をした。”
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展示品『ゴム手袋』には、ある意味でポジティブな「別れ」が込められています。

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“結婚し、夫の両親と生活することになった。その日から、家族の為に家事をするだけの囚われ人となった。そして遂に、私達は夫の両親の家から引っ越すことになった。家事労働に勤しんだ証としてゴム手袋を送ります。”
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