睡眠不足が健康や美容に悪影響を及ぼすことは、広く知られています。でも、勉強や仕事の効果にも悪影響を及ぼすってご存知ですか?

睡眠は記憶の整理をしてくれるので、とにかくよく眠ることで、勉強や仕事の効果が上がるだけでなく、人間関係悪化の要因にいち早く気付き、最悪な状況を回避することもできます。

このような、“良質な睡眠”のシステムを生活に反映させれば、夢に見た幸せをつかめるかもしれません。
 

基礎知識「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の目覚めの法則

“良質な睡眠”は、『ノンレム睡眠(深い眠り)+レム睡眠(浅い眠り)』の90分サイクルによって形成されています。人によっては、90分~120分の長期サイクルとなる場合もあります。

ノンレム睡眠のときは“脳”の休息時間、レム睡眠のときは“身体”の休息時間。ノンレム睡眠は眠りの深さによって、4段階に分けられます。

この睡眠サイクルがなぜ起こるかというと、低体温となることで身体全体を休息させるためです。そのため、ノンレム睡眠に入ると徐々に体温が低下していきます。

しかし、ある程度体温が低下すると、体温が低下しすぎて身体の機能に支障をきたすことを防ぐため、今度はレム睡眠に入り、体温を少し上昇させます。
こうしてレム睡眠ノンレム睡眠を繰り返すことで、人は深い眠りにつくことができるのです。

よくレム睡眠の間は眠りが浅くなっているため目覚めやすいといいます。これは、体温が上昇してきているレム睡眠のときに目覚めることで、活動態勢の体温で目覚められる爽快な目覚めとなるからです。

ちなみに、体温の上がるレム催眠は、全睡眠時間の20%程度で、1サイクル90分の内、10分〜20分程度です。
 

脳の整理、記憶力アップのためには、短時間でも眠るべし!

体温を徐々に上げているレム睡眠の時間帯には、脳が活発に動いていて、1日の記憶の整理を行っています。
このとき、身体は休息しています。この記憶の整理の過程で、感情に関わった記憶に関する夢を見るといわれています。

このとき、脳が活発に動いていますので、まるで起きているときのようなリアルな夢を見ますし、眼球はキョロキョロと動いています。
但し、脳の機能と運動神経は連動していないので、どんなアクティブな夢を見ても身体が夢に連動した動きをすることはありません。

体温が低下してくるノンレム睡眠の時間帯は、脳が完全な休息をとっていて、眼球も動かず、心拍も血圧も低下しています。但し、運動神経と脳の機能が連動していますので、外界の刺激に脳が反応すると、身体も動きます。寝返りを打ったり、物音で目を覚ましたりするのは、この時間帯です。

記憶の整理とは、五感で感じ取ったそれぞれの情報を組み合わせ、整理した上で、「自分にとって大切なものかどうか?」「生きていく上で重要かどうか?」といった基準で判断され、脳の中の記憶の部屋の入口へとどんどん積み重ねていきます。
そして、特に重要と判断された記憶は、タグをつけて記憶の部屋の奥へと沈んでしまわないように、長期記憶保存棚へと移動します。

テスト前や受験のために覚えた記憶を定着させるためには、脳の中で「受験のために覚えておくべき大切な記憶」として長期記憶保存棚へと保存するために、睡眠中に行う記憶の整理整頓が重要なのです。

一夜漬けの試験勉強は、翌日の試験は上手くいっても、試験が終わった後にきれいさっぱり忘れてしまうのは、睡眠による記憶の整理の際に「一夜漬け」という気持ちが優先されてしまい、「受験のための長期保存しておくべき大切な記憶」と選別される前に、忘れてしまうからなのです。