ULTRA-PRISM『侵略ノススメ☆』(『侵略! イカ娘』)

UNDER17の解散後に、小池雅也さんが新たに結成したのがこの「ULTRA-PRISM」。同ユニットのセカンドシングルとしてリリースされた『侵略ノススメ☆』は、テレビアニメ『侵略! イカ娘』のオープニング主題歌にも起用され、その強烈なインパクトでアニメファンにその名を知らしめるきっかけになったナンバーです。

アッパーな打ち込みに、小池さんのハードなギターサウンドを加えた「萌えソング」のお手本のような曲ですが、トラックの高い完成度に負けず劣らず、ヴォーカリストである月宮うさぎさんの歌声が強い存在感を放っています。

ティピカルな「アニメ声」「萌え声」の持ち主である月宮さんのヴォーカルがもたらす破壊力たるや凄まじく、一度耳にしたが最後、一瞬にして歌とメロディが耳に張り付いて離れなくなる異常な中毒性を生み出しているのです。

曲間でゲスト賛歌している金元寿子さん(主役のイカ娘役で、同作に出演)の声も、中毒性を更に後押し。テレビサイズでもその暴走気味のパワーは十分に伝わるかと思いますが、小池さんのハードロック調のエレキギターが縦横無尽に走り回る間奏パートも聴きどころの一つです。

ちなみに歌詞は、『侵略! イカ娘』の世界観を踏まえつつも、オタク心を全面に押し出した「コミックマーケット賛歌」となっています。潔いまでに"萌え"特化型なアキバ感覚も素晴らしいの一言。

MOSAIC.WAV『超妻賢母宣言』(『狂乱家族日記』)

美少女PCゲームの主題歌として使用された『ようこそ! ヒミツの雀バラや!?』(『おまたせ! 雀バラや♪』主題歌)や『ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト』(『ふぃぎゅ@メイト』主題歌)で、萌系の特殊音楽愛好家に愛された名ユニットが2008年にリリースしたシングル曲。

同年に放映されたテレビアニメ『狂乱家族日記』のオープニング曲として使用されました。

「MOSAIC.WAV」が手掛けたアニソンというと、歌い出しが「子づくりしましょ」というトンデモないフレーズで始まる『最強○×計画』(『すもももももも 地上最強のヨメ』オープニング曲)が代表曲として挙げられることが多いように思いますが、「電波」という要素を重視してベストを選ぶなら、個人的にはコッチ。

何といっても、曲の開始早々に韻を踏みながら超早口で畳み掛ける二字熟語の羅列が凄まじく、問答無用でアナーキーな音世界に引き込まれてしまいます。

『狂乱家族日記』というアニメ自体が、強烈な登場人物たちが織り成すぶっ飛んだストーリーが魅力のエンタメ作品でしたが、その毒っ気のエッセンスを巧みに取り込んだ歌詞もハチャメチャな曲調に上手くフィットしています。

基本的には、ピコピコしたテクノポップに超アニメ声ヴォーカルという、このユニットの王道を征く編成の楽曲ですが、ラウドなギターソロやインダストリアルっぽい電子音が入るなど、MOSAIC.WAV屈指のハードな電波ソングといえるでしょう。

ドクロちゃん『撲殺天使ドクロちゃん』(『撲殺天使ドクロちゃん』)

2000年代の半ばに、美少女ゲーム発ではなく、アニメ作品から生まれた電波ソングとしてファンに愛されたのが、この『撲殺天使ドクロちゃん』です。

同名OVAの主題歌で、主役を演じた千葉紗子さんが自身が演じる主役キャラの名義で歌唱を担当。何といっても、「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~♪」という、まさに「電波」としか形容のしようがない際立って個性的なフレーズを含んだ歌詞が最大の特徴となっている曲です。

不条理な展開が続くアニメ本編と同様に、歌詞もぶっ飛んだ内容で、一般的な倫理観や常識を天高く飛び越えていくリリックは、この曲の存在感を唯一無二のものにしています。

作詞家は、アニメで監督を務めた水島努さん。近年における『ガールズ&パンツァー』や『SHIROBAKO』の大ヒットで、若い世代のアニメファンからも人気の水島監督ですが、その音楽的感性や作詞家としての言語感覚も監督作に負けず劣らず独特の輝きを放っています。

この曲の他にも『プリップリン体操』(『ケメコデラックス!』エンディング曲)や『地獄の牛丼』(『じょしらく』イメージソング)など、電波ソングにカテゴライズ可能な超個性派楽曲でリリックメーカーとしての鬼才っぷりを発揮されています。