夏休みに家族で観たい!
キッズはワクワク、大人は懐かしい気持ちを思い出す、ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』レビュー。
陸に憧れる少年が生んだ、ひと夏の奇跡
見たことのない人間の世界へ、憧れを募らせる日々を送る、シー・モンスターの少年ルカ。
同じシー・モンスターのアルベルトと出会った彼は、ついに海の掟を破り、ポルトロッソの町へ冒険に出かけます。
水に濡れると、モンスターの姿に戻ってしまうリスクを抱えながらも、目の前に広がる新しい世界に、魅了されて行くルカ。
ルカの憧れと、2人の冒険が生んだ“ひと夏の奇跡”は、この夏必見です。
ピクサーの原点回帰
ルカの冒険は、家族と暮らす平和な海の世界から、美しい港町ポルトロッソへ。
『カーズ2』のように世界中を飛び回ったり、『リメンバー・ミー』のように、広大な死者の世界が広がっているわけでもありません。
決してスケールの大きい話ではないですが、ピクサーの初期作品を思い出してみて下さい。
『トイ・ストーリー』は、アンディの部屋と、お隣シドの家でのドタバタがメイン。
『バグズ・ライフ』も、アリたちが住む巨大な巣穴を引きで見てみると、ああこんなに狭い範囲でのお話だったんだ、と気づきます。
狭さを感じさせないストーリーの作り込みや、世界観に引き込ませる舞台設定なんかは、ピクサーの得意分野。
そういった意味で本作は、ある意味ピクサーの原点回帰と言ってもいい作品でした。
大きな驚きや感嘆、ドキドキ感は少し控えめでしたが、ストーリーやキャラクターに凄くピクサーらしさが出ており、ホッとできる素敵な夏休み映画だと思います。
監督から地元イタリアへのラブレター
監督のエンリコ・カサローザは、北イタリアの港町ジェノバ出身。
そして、本作の舞台であるポルトロッソも、同じく北イタリアの港町と言う設定!
「自身が経験しインスピレーションを受けた夏の思い出から、少年が大人へと成長する物語を作りたかった」と語っているように、自らが育った風景や幼少期の経験など、監督の個人的な想いがたっぷり詰まった作品となっています。
イタリアの照り付けるような夏の日差し、美しく透き通るブルーの海、港町で生活を営む多種多様な職業の人々など、監督の地元愛が伝わる描写が、そこら中に溢れているんですよね。
ピクサーという世界的なスタジオの作品で、自身のルーツや郷愁感を、ラブレターのような形で世界中に披露し、地元の人々へ愛を贈る事が出来る。
とっても素敵な事だと思います。