内藤秀一郎(左)と駒木根葵汰

 仮面ライダー50周年、そして、スーパー戦隊45作品目を迎えた今年。半世紀に及ぶ歴史を誇る二大スーパーヒーローのダブルアニバーサリーを記念した映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』が7月22日から公開される。本作では、現在テレビ放送中の最新作「仮面ライダーセイバー」と「機界戦隊ゼンカイジャー」が夢の共演。映画の公開を前に、「仮面ライダーセイバー」の主人公・神山飛羽真役の内藤秀一郎と「機界戦隊ゼンカイジャー」の主人公・五色田介人を演じる駒木根葵汰が、長い歴史を受け継ぐスーパーヒーローとしての思いを語り合った。

-まず、互いの作品に対する印象をお聞かせください。

駒木根 明るくてシンプルなお話の「機界戦隊ゼンカイジャー」とは正反対で、「仮面ライダーセイバー」はせりふが多いし、台本を深いところまで読み込まないといけないので、「大変そうだな…」と思っていました。今回の映画の台本も、僕らはシンプルなせりふが多いのに、内藤くんのシーンは漢字が多いし、せりふは長いし…(笑)。でもその分、それをやってきた内藤くんのことは、すごく尊敬しています。

内藤 僕も葵汰くんを尊敬しているよ。「機界戦隊ゼンカイジャー」は、素顔ではなく(スーツアクターが演じる)キカイノイドとのお芝居が多いので、きっと大変だろうから。葵汰くんの役柄も「仮面ライダーセイバー」にはいない元気なキャラクターだけど、本人が元気いっぱいなので、すごく合っている。あのテンションをずっと保ち続けるのは、僕には無理(笑)。

-そんなお二人が、今回、共演してみた感想は?

内藤 「葵汰くんはやっぱり五色田介人だな…」と。具体的に「ここが」とは言いづらいんですけど、目線や表情、動きが、やっぱりスーパー戦隊。しかも、普段は元気いっぱいなのに、一緒に変身するシーンではバシッと決める。僕の方が先輩だけど、「カッコいいな」と思って。

駒木根 僕も内藤くんの変身を初めて間近で見て、「やっぱり仮面ライダーはカッコいいな」と思いました。何より、僕と内藤くんの後ろにたくさんのヒーローが勢ぞろいする場面では、「先輩たちの存在を、しっかり背負っていかないと」という覚悟が、横にいてすごく伝わってきました。もちろん、そういうものは僕にもありましたから、2人で並んで変身するときは、テレビシリーズとは違った気合が入っていたと思います。

内藤 あと、葵汰くんはアドリブがものすごく多いよね(笑)。「仮面ライダーセイバー」はシリアスなシーンが多いので、アドリブはあまり入れられない。でも今回、葵汰くんと共演してみたら、アドリブをバンバン入れてくる。それを見て、「すごい!」と。

駒木根 そこは、それぞれの作品のカラーだよね(笑)。

-この映画には多数の歴代ヒーローが登場しますが、それを踏まえて、それぞれスーパーヒーローについて改めて思いを巡らせたことはありますか。

内藤 仮面ライダー50年分、スーパー戦隊45作品分の重みを改めて感じました。自分が子どもの頃に見ていた仮面ライダーやスーパー戦隊もいましたし、この映画を見た子どもたちにとって、僕たちはこれからずっと心に残るヒーローであり続けるわけです。だから、これからもしっかりと努力し、僕自身、子どもたちが自慢できるヒーローでありたいな、と。藤岡弘、さん(仮面ライダー1号/本郷猛役)と共演するシーンでは、藤岡さんが登場した直後に語る一言に、ものすごく感動しました。

駒木根 これだけたくさんのヒーローがいれば、それぞれのヒーローの形があります。その歴史を踏まえた上で、今の時代に合わせて新しい要素を盛り込んでいるのが「機界戦隊ゼンカイジャー」です。だから、「秘密戦隊ゴレンジャー」(75~77)から始まるスーパー戦隊の歴史をリスペクトしながら、今までとは一味違うヒーローの形を、この1年を通して作り上げられたら…と。その結果、今の子どもたちにとってのヒーローになれたらうれしいです。

-「仮面ライダーセイバー」は、間もなくテレビシリーズもクライマックスを迎えますが、「仮面ライダーセイバー」を卒業する内藤さんに、駒木根さんから贈る言葉は?

駒木根 この現場に入ってみて、皆さんにヒーローをお届けするまで、ものすごくたくさんの方が努力されていることを、僕は初めて知りました。それを1年間続けるのがどれほど大変なことか。クオリティーを落とさず、皆さんにお届けするために、僕らとスタッフが一丸になって命を込めてやっています。だから、それを1年間やってきた内藤くんには、「お疲れさま」としか言いようがありません。本当にお疲れさまでした!

内藤 ありがとうございます。

-これから「機界戦隊ゼンカイジャー」の後半戦に臨む駒木根さんに、内藤さんから贈る言葉は?

内藤 僕が「仮面ライダーセイバー」をオールアップしたときにまず感じたのは、「1年間、本当に早かったな…」ということです。振り返ってみると、最初の頃、僕は監督に言われるまま演じていただけでした。それが回を重ねるうち、「神山飛羽真という人間を一番知っているのは自分だ」という気持ちが生まれ、監督に対して自分の思いをぶつけられるようになったんです。でも、「そういう気持ちをもっと早く監督にぶつけておけばよかった」という反省もあります。だから、僕からは「1年間、『機界戦隊ゼンカイジャー』のことだけ考えて、監督とぶつかり合い、最後はみんなで笑って終われるようにしてほしい」という言葉を贈ります。

駒木根 ありがとうございます。頑張ります。

-それでは最後に、この映画に対する意気込みを聞かせてください。

内藤 僕がこの映画で一番頑張ったのは、大人になったルナ(「仮面ライダーセイバー」で物語のカギを握る少女/横田真悠)と会うシーンを、ワンカットの長回しで撮影したことです。台本で6ページぐらいある場面を、カメラを回したまま、芝居をしている間にスタッフさんや映らないキャストが見えないように移動して…という方法で、12時間かけて撮影しました。この先も、こんな現場を味わえるのかな…というぐらい貴重な体験だったので、僕自身にとっても、神山飛羽真としても、一つの集大成になりました。映画としても大きな見どころなので、ぜひご覧ください。

駒木根 「機界戦隊ゼンカイジャー」は、スーパー戦隊のアニバーサリー作品ということで、スタートから華々しくやらせていただいた上に、今回は仮面ライダーと共闘という、さらに素晴らしい舞台を用意していただきました。「仮面ライダーセイバー」の皆さんはもちろん、歴代のスーパー戦隊や仮面ライダーに胸を借りるつもりで、伸び伸びとやらせていただき、しっかりと僕らの色は出せたかなと思っています。スーパー戦隊や仮面ライダーの偉大さを、身を持って感じることができ、これから後半戦を戦っていく自信になりました。アニバーサリー作品としても豪華に仕上がったので、皆さんにご覧いただけるのが楽しみです。

(取材・文・写真/井上健一)