客はモノを買いにくるのではなく、自分の欲求を満たす手段を手に入れたいと考えている。例えば「電動ドリルが欲しい」と言う客がいたとして、結果として求めることが「継続的に日曜大工を楽しむこと」なのか、「ただ一度、家具を修理すること」なのか。それにより適した商品は変わるはずだが、知識のない客は「電動ドリル」のひとことでしか表現できない。
「そのオーダーだけを頼りに、最新&高性能のドリルを“売りつけよう”として、お客さんを逃してしまう。同じミスは電器店でも、コンサルティング事務所でも、ホテルでも実に多く見られます」
売り上げを劇的に変えるセールストークのポイントは、「客の本当の要望を引き出すこと」。そうして最適な商品を提案し、顧客満足度を高めることが、リピーターの獲得にもつながっていく。
まずは、佐藤さんが提唱する「魔法のセールストーク・4ステップ」、また「真似してはいけない、ありがちなセールス法」をしっかりチェック。コミュニケーションをベースにした、正しいセールストークをシミュレートしてみよう。
これだけ覚える! 魔法のセールストーク・4ステップの流れ
STEP 1:「ファースト・マジック・クエスチョン」を投げかける
客は自分が欲しいものを正確に把握していないケースがほとんど。まずは客の要望に対し、「○○ということですが、いまの××に何かお悩み(ご不満)でもおありですか?」と、質問を投げかけよう。そうすることで、客が抱える本当の欲求を引き出すことができ、またこの質問にしっかり考えて答えるかどうかで、「見込み客」か「冷やかし」かを判断することもできる。
STEP 2:「マインド・キー・クエスチョン」で、お客の要望を掘り下げる
最初の質問では、客の要望はまだ曖昧な表現で語られているはず。そこで、「例えば?/もう少し具体的に言うと?」と、さらに掘り下げる質問をしたり、「○○だと、××過ぎるのですか?」と根拠を聞き出す質問を投げかける。このやり取りの過程で、客自身も自分の考えを理解していく。会話のなかで「同じ話が繰り返される」ところまでくれば、要望をすべて掘り下げられたと考えていい。
STEP 3:お客の要望を整理し、相手に確認させる
聞き出した要望のすべてを、客と一緒に確認していく。「言葉によって、お互いの理解を共有する」ことで、売り手側は「これで間違いない」という自信を持つことができ、買い手側は「伝えたいことがきちんと伝わった」という安心感を持つようになる。最後に「これで確かですね?」と念を押して、相手が悩むようだったら、STEP2に戻ろう。問題なければ要望の「最優先事項」を確認しておく。
STEP 4:お客の要望にピッタリの商品やサービスを提案する
客の要望の優先事項、妥協点をすべて引き出した上で、最適な形で商品を提案する。しかし、「お客の要望をすべて満たすと予算が足りない」など、最終的に折り合わないことも。その際には、自分が妥協することも、相手に妥協するよう説得することも、無理に着地点を探ることもしてはいけない。1~3のSTEPを踏み、できる限りの提案をしていれば、客は自然と妥協のプロセスに入っていく。