「昔、遠距離恋愛の彼氏がいたのですが男友達と浮気していたときのこと。
私は別れたいと思うのだけど、それを言うと
『絶対に別れない。
別れると言うなら仕事を捨ててそっちに戻る』
と彼氏のほうはかたくなに拒否していて、膠着状態というかどうしようもなくてストレスが溜まっていました。
それでチャラい男友達と体だけの関係を楽しんでいたのですが、やっぱり罪悪感というか、
『こんな私を知ったら彼氏は怒り狂うだろうな』
とは思っていました。
それでも、遠距離だしバレないだろうとたかをくくっていたんですよね。
ある日、いつものように男友達とホテルに行ったのですが、ベッドにいるときに彼氏から着信が。
無視していたけどしつこく鳴り続けるので、仕方なく出ると
『いま、何処にいるの?』
と彼氏の静かな声。
ギクッとしたけど、平日の夜だしまさかこっちには来ていないだろうと思い適当に
『友達の家にいる』
と答えたのですが、
『俺の生霊を飛ばしたから、嘘をついているのは知っているよ』
と低い声で言われて、背筋が寒くなりました。
生霊とか普通に口にすることにドン引きしてしまい、“これ以上怒らせたらやばい”と思ってすぐに切りました。
でも、男友達とホテルを出るとき、部屋の隣に停めていた私のクルマに傷がついていたんですよね……。
コインでこすったような傷は普通に付いたとは思えなくて、部屋に入るときは気が付かなかったことを考えるとそのときが本当に怖かったです。
結局男友達とはすぐに別れ、この彼氏とも無理やり終わらせたのですが、あのとき聞いた『生霊』って言葉が今でも忘れられません」(29歳/営業)
生きた人間の霊魂を生霊といいますが、そんなものを気にしながら生活している人など、いくらもいないと思います。
別れたがっている交際相手が憎い、恨めしいと思えば出ることを考えるかもしれませんが、それをわざわざ口にすることが、もう“普通じゃない“ですよね。
クルマについた傷は偶然だったのか、それとも本当に「生霊」の仕業だったのか、確かめるすべはありません。