老人ホームでの介護される暮らしを体験するワークショップ型のオンライン作品『The Home オンライン版』が、彩の国さいたま芸術劇場と英国との国際共同にて、制作・公開が決定した。
本作の元となったのは2019年英国・ロンドンで初演された『The Home』。大学寮をまるごと架空の老人ホームに設え、観客は入居者として48時間滞在する…という、イマーシブシアター(没入型演劇)だ。観客は二日間にわたり明るく衛生的な居住空間、健康的な食事が提供され、遺書の書き方講座や地域住人とのアクティビティに参加し、俳優たちが演じる介護職員・施設スタッフによる手厚い介護を体験。実際に介護される立場に身を置くことで、介護されることをどのように感じ、受け入れるのかを考える機会を提供する、高い評価を受けた意欲作となる。

元々はリアルで制作・上演予定だったが、折からのコロナ禍により舞台をバーチャル空間に移し、日英同時進行での発表となる今作。ストーリーは、英国に本社を構える<The Home>は32か所の老人ホームを経営する企業が、アジア進出として日本で有料老人ホーム「あおぞら」を開設することに。様々な芸術文化プログラムを展開し「介護に文化を」をモットーに、施設長・柏原直人(演・菅原直樹)を中心としたスタッフに、演劇好きで個性派ぞろいの入居者たち(演・さいたまゴールド・シアター)がにぎやかな日々を送っている…というものだ。映像を中心としたデジタルコンテンツと、「あおぞらシアター」と称したオンライン・ワークショップで展開し、デジタルコンテンツは9月25日(土)10時より、ウェブサイトを公開(URL: https://thedigitalhome.org/ ※アプリ版:10月5日(火)10時公開)。さいたまゴールド・シアターのメンバーの個人史をベースとした短編映像や、コロナ禍での老人ホームを描いた作品などの映像、また画像、ミニゲームといったコンテンツを体験することができる。

オンライン・ワークショップ「あおぞらシアター」はWEB・Zoomを使っての開催。入居者、介護スタッフによって結成された劇団「あおぞらシアター」のメンバーとともに、老いや介護をテーマに演劇ワークショップ形式での開催となる。バーチャルで参加できる新しい形の「没入型演劇」、ぜひアクセスしてみてほしい。オンライン・ワークショップは10月8、9、10日の3日間、各11時、14時、16時(各回約1時間)。参加費は500円(別途手数料がかかる場合有)。参加券はチケットぴあにて発売中。