(C)Izumi Sakurai

Kバレエカンパニーの「シンデレラ」が東京公演に先駆けて10月2、3日、札幌文化芸術劇場hitaruで上演された。芸術監督熊川哲也の故郷でありながら札幌でのカンパニーの公演は8年ぶり。9月末に緊急事態宣言も明けたとあって、会場は着飾ったファンらで連日ほぼ満席に。その熱気と期待を裏切らぬ、幸福感に満ちた舞台だった。
同作は2012年に熊川の演出・振付で初演。光をまとったようなシンデレラの衣裳、輝く銀の馬車、豪華な城などため息の連続で、魔法が解ける残酷な瞬間には、手に汗握る。だがそれ以上に、「苦しくても善い行いをしていれば、いつか幸せが訪れる」という物語そのものが、コロナ下ゆえに心に染みた。義母(ルーク・ヘイドンが名演)ら悪役たちも愛すべき存在で、一点の曇りもないハッピーエンドにホッとする。
2日のシンデレラは日髙世菜、王子は髙橋裕哉。終演後、舞台上で熊川から髙橋のプリンシパル昇格が告げられるなど、うれしい驚きがあった。3日は成田紗弥と札幌出身の栗山廉。けなげな少女と絵本から抜け出たような王子に引き込まれた。両日とも、歓声は無い代わりに、万雷の拍手がしばしやまなかった。

札幌公演の熱気そのままに、今週からは東京・渋谷に凱旋し、全7公演が予定されている。
またオンラインライブ配信(アーカイブ配信あり)も実施予定。詳しくは公式HPにて。

Daiwa House PRESENTS Kバレエ カンパニー Autumn Tour 2021 『シンデレラ』
10月7日(木)~10月10日(日) Bunkamura オーチャードホール