■「ドラえもん」は理想の先生!

『人生で必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた』横山泰行著 

横山教授は『人生で必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた。』(イースト・プレス)で、ドラえもんはのび太にとって“理想の先生”であると分析している。
ドラえもんはのび太をときに褒め、叱り、間違いに気づかせ、日々をなんとなく過ごしているだけでは決して得られない経験させて、人生を学ばせている。ドラえもんの“育て力”は便利なひみつ道具ではなく、そのキャラクターにあると言えるだろう。以下は、ドラえもんがのび太に語った、ファンには知られた名言だ。

 

 

どんなに勉強ができなくても、
どんなに喧嘩が弱くても
どこかに君の宝石があるはずだよ。
その宝石を磨いて、
魂をピカピカに磨いて魅せてよ。

 

ドラえもんと日々を過ごした結果として、のび太は憎めない性格はそのままに、ひたむきで人の心がわかる大人になり、憧れのしずかちゃんと結婚する“勝ち組”の未来にたどり着いている。
年齢を重ねるにつれ、人を指導する機会は増えていくものだが、部下や後輩、あるいは悩める友人に模範解答を示す=ひみつ道具で助けてあげるだけでは、根本的な解決にならないことも多い。辛抱強くのび太を見守り、その長所を引き出していくドラえもんに学ぶことは多そうだ。

■見習いたい、のび太の“愛され体質”

『「のび太」という生き方』横山泰行著 

一方、のび太はのび太で、人生を切り開くための“能力”を備えているようだ。『のび太という生き方』(アスコム)では、のび太は「がんばらない」「しがみつかない」「ゆるく生きる」、それでも「人生を楽しみながら夢を叶える」キャラクターだと分析されている。

テストは0点ばかり、運動神経もよくないし、失敗し、怒られて大泣きしているシーンもよく見かけるのび太だが、大人になって各エピソードを見てみると、確かに「自分の現状を心から悲観していない」ことがわかる。

バカにされたり、怒られたりしながらも、のび太は決して周囲の人に見放されず、いつでも人の輪のなかにいる。その理由は、どんなに失敗を繰り返しても、せかせか、ギスギスせずに、つい応援したくなる性格にありそうだ。

 

アニメの世界に限らず、「困ったことがあると誰かが助けてくれる」という体質の人はいるもの。単に日々をぐうたらと過ごすのはNGだが、のび太のお気楽な生き方を少し見習ってみると、周囲の人たちに支えられて、楽しい人生が送れるかも?