日本から失われたハングリー精神が、サムスン急成長のポイント!?

水田さんは、「韓国エリートの最大の目標は“出世すること”といっても過言ではない」という。「出世がすべて」のサムスン社員は、同期の社員との競争に敗れて出世レースから脱落すると、その多くが会社を辞めてしまうのだとか。

これは技術者も同様で、韓国では日本にあるような「人生の目標は仕事とは別にある」「研究開発の現場で自分の技術力を高め続けたい」という価値観は見られず、「出世できないくらいなら、別の会社に転職して高いポジションを目指したほうがいい」という考え方が一般的だという。
どちらがいいとは言いがたいものの、ビジネスシーンでの“競争”という観点からすると、ハングリーさ=結果を求める貪欲さは、日本より韓国に分があるのかも?

韓国エリートは英語に習熟し、コミュニケーションに積極的

サムスンでは、外国語の習得が出世するためのポイントとなっており、エンジニアも出世するには外国語を学ぶことが必要。流暢でなくても、意思疎通が可能な程度には英語を操れるのが普通だったそう。

水田さんは、「アメリカへ学会発表に行った際、韓国人のメンバーたちはブロークンな英語でもものおじせず、どんどん周囲と会話をしていました」と振り返る。


日本人には「完璧な英語でなければ恥ずかしい」と感じてしまう人が多そうだが、韓国エリートには、多少英語に自信がなくても、堂々と積極的にコミュニケーションを取ろうというバイタリティがあるようだ。

こうしたメンタリティには、「韓国という国が置かれている状況が大きく影響しているのではないか」と水田さん。韓国は人口が約5000万人と国内市場が小さく、内需に限界があるため、経済は輸出に依存せざるを得ない状況。そのため、韓国全体として「積極的に海外に出て行かなければ生き残れない」という意識が共有されているようで、韓国企業が海外で飛躍した要因のひとつは、ここにあるのかもしれない。

「日本企業というお手本があり、その後を追うことができたからこそ、サムスンのリーダーたちは正しい意思決定を重ねてくることができたのではないか」とは、水田さんの言葉。今度は日本人が、近年で急伸してきた韓国流の仕事術を知り、見習うべき点は見習って、切磋琢磨することができればよさそうだ。
 

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