「もっと注意して校正しろよ!」なんて、上司に怒られた経験はありませんか?  ミスした箇所をチェックすると、何で見落としてしまったのかわからないような、シンプルな照合漏れ。確かに集中力が足りなかった……と反省せざるを得ません。

でも、どんなに注意しても、校正ミスって起きるんですよね。実はこれ、脳の機能が大きく影響しています。今回は、人間の体の特徴を踏まえた上で、校正ミスを飛躍的に減らすコツを紹介します。
 

脳に騙される?

校正は、AとBに書いてある文字が同じものかどうか照合するというだけの、原理的には、子供にだってできるはずのシンプルな作業です。

ところが、ベテランの校正者でさえ、ミスをゼロにすることはできません(ミスの発生率が1%なのか、0.01%なのかによって、校正者の実力が評価される、という世界です)。なぜなら、単に「注意する」や「集中する」では補いきれない要素が存在するからです。ずばり、脳の機能の影響です。
 

ものが見える仕組みを考えてみる

ご存じのとおり、私たちが目で見ている映像は、眼球に入った光が網膜に投射され、神経信号となって脳へ伝わり、脳が神経信号を読み取って「見えている」という感覚をつくり出しています。

光をそのまま見ているのではなく、一度神経信号に変換されている事実が重要です。なぜなら、脳が神経信号をどう読み取るかによって、実際に見える映像が決まるからです。

もし、脳が嘘をついたとしら? 見えているはずのものが見えていない、あるいは、見えていないものが見える、という事態が発生します。

 

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