見えないはずなのに見えてる! 盲点の実験
脳が嘘をつくのを簡単に実感できる方法があります。盲点の実験です。
よく、ありふれているはずの選択肢を見落としていた状況を、「それは盲点だった」と表現しますよね。人間の眼には、実際に盲点という点が存在します。盲点とは視神経が繋がっている場所で、眼球の構造上、光を受容できません。
別の言い方をすれば、私たちの視界には、見ることのできない箇所が両目に1ヵ所ずつあります。普段は意識できない盲点を、意識できるようにする実験を紹介しましょう。
まず、右目を●(黒い丸)の正面に合わせてください。次に右目を閉じるか、手で覆って視界を遮り、左目のみで●をジッと見つめてください。その上で、ディスプレイと顔の距離を近づけたり遠ざけたりすると……フッと左側のグレーの丸が消えましたよね! だいたい20cm~25cmくらいが目安です。
これが盲点です。しかも驚くのは、グレーの印が消えると、真っ白に見える事実です。脳が、周囲の情報から勝手に補完しているんです。地色が青なら青に見えますし、格子模様があれば完璧な格子模様に見せてくれます。
脳は必要な情報だけを取り入れている
友人と一緒に、新宿や渋谷の繁華街を歩いて、初めて行くお店に向かっているとします。友人がスマートフォンで道案内をしてくれるので、何気なく立ち並ぶ店のショーウィンドウを見ながら後について歩いています。
不意に友人が「さっき、こっちのほうだって看板があったよねえ?」と尋ねてきたのですが、ショーウィンドウに気を取られていて、看板があったことすら気がつきませんでした。
こんな経験が、誰しもあるのではないかと思います。校正では、確かに目に入っているはずなのに、認識できないという、まさにこのケースが問題になります。間違いが目に入っているのに、何かしらの理由があってチェックする必要がないと無意識に判断してしまい、見落としてしまうわけです。