アベノミクスで景気が上向いていると思いきや、有名企業が5000人リストラというなんだか、景気がいいのか悪いのかわからない状態になっている今の日本ですが、着実に企業は首切りに精を出しています。
10年ほど前であれば、アウトプレースメントというサービスを企業が提供して、退職者に対して、電話・PCなどのファシリティサービスがあるブースを提供し、円満退職した人に対して、再就職支援などをおこなっていましたが、今ではアウトプレースメント会社を利用することもなく、人事が汚い裏技を使って、退職に追い込むケースもざらに出てきています。
一昔みたいに社史編纂室などの窓際部署に配置転換したり、机を廊下に置いたりすると、露骨でかつ目立ちすぎるので、それに代わる方法を、人事は常々考えています。あくまで静かに、そして着実に・・・法に触れないように、罠を仕掛けていきます。
世の中、いわいる首切りを功績にしているひどい人事もいるので、そんな奴の罠にはまることはありません。そんな罠に引っかからないように、あえて、裏技を公開してしまいます。
(新卒社員の方は過激すぎるので、読まない方が賢明かもしれません。)
1. 住宅を買った瞬間を狙っての転勤命令。
人事は源泉徴収票を発行していることが多いですが、年度途中に発行を求める人がいます。発行理由を聞くと、「住宅ローンの審査に使うんです」と、念願の住宅を購入するウキウキした顔の社員。しかしそれがもしリストラ候補社員だったら・・人事はニヤリとほくそ笑みます。そして住宅が完成した直後を狙って、過疎地や不採算拠点への転勤命令を発令するのです。
念願の我が家に1ヶ月といれずに単身赴任か、家を人に貸す始末。なぜこんなことが通るのか。その原因は労働基準法や判例にあります。解雇に関しては厳格な取り決めがあるのに、なぜか転勤や配転命令に関しては、会社側に非常に甘い法律であり、裁判になっても、会社側勝訴の判決がほとんどです。基本的に、転勤命令に対抗するには以下の3点をいずれかに該当しなければ、戦えません。
A.業務上の必要性が存しない場合
B.不当な動機・目的をもってなされたものである場合
C.労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
ここで問題なのが、AとBです。
Aについては、会社はいくらでも「必要性がある。仕事がある」と、でっちあげることができます。よくあるセリフに「○○くんの力で、支店を立て直してくれ。期待しているぞ!」と肩をたたかれる。その肩はリストラの肩たたきなのに・・。
Bについても、そんなことはないですよ。の一言で終わってしまうケースがほとんどです。争えるとしても、いままで社員が転勤する労働慣習がない会社だったのに、突然転勤命令がだされた。これは不当ではないかと訴えても、「君が第一号だ」と言われてしまえばそれまでです。
Cについても、裁判所も会社側有利、この「通常甘受すべき」が非常に甘いのです。人事の私からみてもかわいそうだなと思う理由。これは転勤できないでしょうと思う理由でも、転勤命令は正当であるとの判決ばかり。日本の司法の常識を疑います。確かに裁判官は任期ごとに転勤するので、転勤があたりまえと考えているふしがありますが。でも裁判官には立派な官舎があたえられます。
本題に戻って、素直に転勤命令に応じたとしましょう。そこでまっているのは単身赴任の場合、明らかに支出よりも少額の赴任手当や住宅手当(ないこともある)で、営業不振拠点だからボーナスも低い。昇格もない地獄がまっています。そしてのしかかってくる住宅ローンの返済。しかもせっかく建てた住宅の通勤圏内での勤務ができないという不利益。
会社は、不採算拠点への転勤命令(いわいる左遷)を悪用しているところも多く、蛇の生殺しにして、たまらず転職させることもリストラ策の一つと考えています。また家族全員で異動する場合には、買ったばかりの新居を、人に貸すことになり、借り手がつかないと、実質収入も激減。会社に相談しても「なんで借りてくれないんだろうね。ご時世かねえ。新築なのにね」と言われて終わりです。
対策はただ一つ、人事には絶対に住宅を買うことを伝えないこと。源泉徴収票発行理由は車のローンとでもしておきましょう。そして住宅ローン減税は面倒ですが、毎年年町調整後に、確定申告すること。翌年度の住民税通知をよく見れば家を買ったことを人事もわかりますが、そこまでチェックする人事はまずいません。住宅の自己所有は大きな魅力ですが、いつ発令されるかわからない「転勤」に対しては非常に弱みとなります。もちろん転勤を悪用したリストラに対して、ローンの残った住宅は、大きな足かせになります。