'88年生まれ以降の「ゆとり世代」が続々と社会人の仲間入りを果たしている。新世代である彼らと付き合う必勝法を『「ゆとり世代」を即戦力にする5つの極意』の著者・伊庭正康さんが語る。

早い段階で失敗を経験させるべし

【ゆとり世代の世界観】
失敗はしたくないけど、上司から認められたい!

日常業務など、ごく狭い範囲での失敗を恐れ、人とつながることで安心感を得るゆとり世代。上司からの支持には懸命に従うものの、指示をされていないことはやりたがらない傾向も。

ここ数年、本格的なゆとり教育を受けた「ゆとり世代」が新入社員として、続々と会社にやってきている。自分がやりたい仕事には徹夜をしてでも全力で取り組むけれど、やりがいを見いだせない仕事はやろうともしない…。そんな新世代の部下・後輩の指導に、プレッシャー世代(※)をはじめ、頭を悩ませている人は少なくないはず。充実した会社ライフを送るためには、彼らとどう付き合うべきだろうか?

「ゆとり世代の直近の先輩であるプレッシャー世代は、少しでも早く一人前になりたいと考える、自立性の高い世代でした。それに対して、ゆとり世代は日常業務などのごく狭い範囲での失敗を恐れて、人とつながることで安心感を得ようとする、依存性の強い世代です」

この「身近な失敗への恐れ」こそが、自由気ままにも見える、ゆとり世代の行動理由。そう話すのは、『「ゆとり世代」を即戦力にする5つの極意』の著者・伊庭正康さんだ。

 

「ゆとり世代の成長の妨げとなる『失敗を恐れる気持ち』を取り払うためには、早い段階で失敗を経験させることが大切。失敗からの回復を経験することではじめて、失敗を恐れない自信を得ることができるからです」

失敗しない方法を求めているゆとり世代に対して、その答えを知っている先輩・上司としては、明確な答えを与えたくなってしまうもの。けれど、それではいつまで経ってもゆとり世代は自立することができない。やりたくない仕事から逃げたり、指示に従うだけの状態が続いてしまう。

「たとえば、ゆとり世代から『飛び込みの訪問でなかなか会ってもらえずに悩んでいます。どうすればいいでしょうか?』と相談されたとき、失敗しない方法を詳細に指示することは簡単です。しかし、それではゆとり世代は仕事に失敗しないことに満足するだけで、その仕事の『意味』までは考えることができません」


※【プレッシャー世代】とは
最近、ネット界やビジネスシーン、学問の世界などで新世代が台頭し始めている、現在25歳から30歳(1982-1987年生まれ)の世代。ゆとり世代と氷河期世代の間に位置。
人気ブロガー“sugio”さんが2007年に命名。ネット上で生まれ、ネット上で話題となった。sugioさん曰く「’82 年生まれの北島康介さんのように、人生の大一番で実力をフルに発揮できる有名スポーツ選手が目についた。下のゆとり世代や上のポスト団塊ジュニア世代に比 べて、明るい中にも独特のピリっとした雰囲気を漂わせる方が多いように見受けられた。そこに彼らが過ごした時代性が反映されているのではないか、様々なプ レッシャーに耐えてきた世代なのではないかと考え命名した」とのこと。ここ一番で強さを発揮する、明るさの中に緊張感を秘めた世代。