「恋人との心の距離は、近ければ近いほどいい」…そう考えていませんか?しかし、近すぎる心の距離は、トラブルの元になることも多いのです。

結婚となると、なおさら彼との境界線を持っておくことが重要になります。

心の距離が近すぎることがもたらしたトラブル例と、彼との心の距離の保ち方について、コミュニケーションライターとして人間関係の悩みを解決に導く筆者がお伝えします。

心の距離が近すぎることがもたらしたトラブル2例

心の距離が近すぎると、相手と自分との境界線が曖昧になります。

そして、相手の問題を自分の問題のように感じ、救おうとします。

彼との心の距離が近づきすぎてしまったことで苦しみを味わった女性のお話を2例ご紹介します。

家庭環境が複雑な似た者同士で傷を舐め合ううちに…

Hさん(千葉県在中・29歳)が数年前まで付き合っていた彼は、生まれ育った家庭環境に問題を抱えていました。

彼の父親は事業で成功し、家は裕福ですが、家のことには無関心。息子である彼に対しては、後継ぎとしか思っていません。母親は性格に問題ありで、Hさんが初めて彼の家に遊びに行った際は、挨拶をしても無視され、「邪魔!」と言って掃除機を足に軽くぶつけられたそうです。

彼はそれを見て母親に激怒。自分の母親を突き飛ばしました。母親は壁に体を激しく打ち、転倒しました。

そんな彼の暴力的な姿と、彼の母親を目の当たりにしたら、普通の感覚だったらドン引きするところでしょう。しかしHさんは「私のために、自分の母親にあんなに強く当たってくれた、私を守ってくれたんだ…」と感激したそうです。

実は、Hさん自身も、自分の家庭環境に暗い気持ちを抱えていました。両親は仕事に忙しく、常に優秀な兄と姉ばかり優先されていました。学校の友達関係のことでトラブルがあった時、親に「しんどい」「辛い」と訴えても、取り合ってもらえなかったことなどが心の傷として深く残っていました。

子どもの頃の満たされなかった経験や傷を埋めるかのように、2人は精神的に依存しあっていきました。Hさんは、彼の望むことはなんでもやってあげていたそうです。

そのうち、彼は、思う通りにいかないことがあると、Hさんを噛む、髪の毛を引っ張る、殴るなどの暴力を振るうようになりました。同棲していた家に浮気相手を連れ込まれたこともありました。Hさんが彼の元を逃げるように去って別れるまで、このいびつな関係性は続いたそうです。