2. 賃金(給与)制度改定と謳った賃金カット
業績も悪くないのに、会社が賃金制度を改定することになったら、注意深く内容をみてみましょう。社員の少数だけ不利になっている賃金改定がなされていたら、その少数はリストラ候補にあがっている可能性があります。労働組合がない、あるいは、あっても御用組合の場合、対抗できる手段がありません。
賃金を改定する場合、改定される全員から同意書をとらなければなりませんが、この「同意書」はたとえ全員が不同意だしても、新制度を執行できるという、まったく意味のないものなのです。さすがに全員不同意の場合は、労働基準監督署も、もう一度労使で話し合いなさいとなりますが、数名のリストラ候補者のみ「再査定」と称して低い等級に格付けする例は後を絶ちません。その場合、大半の社員は賃金が変わらず、同意してしまうので、孤立無援となります。しかも対策が、ユニオンに駆け込むくらいしかないという状態です。
この状態になったら、リストラ候補者かなと思って、転職活動をリストラされる前に開始するのが得策です。中には、賃金が下がる少数のうち、リストラ候補でない社員にのみ、あとで補填すると約束して、リストラ候補者が退職したあとで、賃金を元に戻して、差額をボーナスで払う悪辣な会社も存在します。
3. 産業医を利用した休職期間満了退職
ある日突然、産業医面談対象者になったら、要注意です。無論健康診断の結果、悪い数値が出たというなら別ですが、そうでない場合、会社と産業医が結託している場合があります。特に産業医が、病院勤務や開業医でない場合、つまり会社の常勤産業医の場合は、ほぼ会社のいいなりです。そしてリストラ対象者は、面談で何を言っても、出される結論は「疲労により要休職」「うつ状態の恐れありで要休職」となります。そして会社は休職命令を出してきます。
本来、休職は自分から休みたいと申し出るものですが、就業規則に会社が指示できると書いてあり、産業医による休業の必要性が申告された時となっている場合は会社の指示で休職させられます。そうなると、かかりつけの医師でいくら就業可能の診断書を会社に提出しても、「産業医が休職と言っている」とはねつけられ、かかりつけの医師は就業可能と言っているので、休職期間中にでるはずの、健康保険の傷病手当金もでません。そして、休職期間満了で、復帰不可能=自然退職とされてしまうのです。
これに対する対抗策は、まず休職を命令する根拠を就業規則できちんと会社側に説明させること。規則に根拠があってしまった場合は、産業医とかかりつけの医師で意見の相違があると、労働基準監督署に訴え出ましょう。今はかかりつけの医師の見解が優先されることが多いようです。それでも復帰させない場合は、やはり労働組合かユニオン、あるいは弁護士の力を借りるしかありません。身体的・精神的に休職させる根拠がないリストラ目的の場合、訴えれば、休職させられていた間の得られなかった賃金も損害賠償請求できます。会社に残りたいなら、自然退職となる前にかかりつけの医師から産業医に質問状をだしてもらったりする。
また、こんな仕打ちをしてくる会社にいたくない、損害賠償金でカタをつけたいという場合は、退職前にユニオン等の力を借りるといいでしょう。ユニオンをつかわずに無料の個別労働あっせんを申し込む手もありますが、効果のある場合とない場合があります。また退職後では前提が労働審判になってしまいます。