1993年から市村正親の当たり役のひとつとして上演を重ねてきたミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』。2008年からはジョルジュ役に市村の劇団四季時代からの盟友・鹿賀丈史を迎え上演を続け、(鹿賀・市村ペアとしては)今回は5度目の再演となる。見どころは、何といっても“『ラ・カージュ』史上最高のコンビ”と名高い、市村と鹿賀の息の合った名演技。かれこれ50年来の仲という盟友2人が、本作の魅力を語ってくれた。

2人が演じるのは、南仏のゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナー、ジョルジュ(鹿賀丈史)と、看板スターの“ザザ”ことアルバン(市村正親)。2人は、20年間同棲している事実上の夫婦でもある。ジョルジュには24年前の過ち(?)から生まれた実の息子がいて、アルバンは彼を母親のように愛している。そんなある日、息子が結婚を宣言。その相手がゲイクラブの取り締まりを主張する政治家ダンドン議員夫妻の娘だったことから家族に波乱が…というストーリー。

「アルバンは少しわがままなところはありますが、ジョルジュにとってはそれさえも愛すべき存在。そんなアルバンを思う気持ちを前面に押し出して演じてきたのですが、今回は長年一緒に暮らし、深く知り合った間柄だからこそ生まれるルーズさも表現できればと思っています。一見、いい加減に見えるけれども、仕草や言葉の端々にアルバンへの愛や思いやりがにじみ出ている、そんなジョルジュを演じられれば」と役づくりについて語る鹿賀。市村も「初演のときは40代半ばで、僕が演じたアルバンも非常に元気で、華やいでいました。でも年を重ねた今では、年をとることは役を“よりリアル”にしてくれるものだと感じています。そして今鹿賀くんと夫婦役をやれることも運命的です。ジョルジュとアルバンには俳優としての僕らがダブってみえる場面もあるので、そのあたりも楽しんでいただきたいですね」と笑顔で応えた。

“いっちゃん”“丈史”と呼び合う2人は、「いっちゃんの強い舞台愛と、表現することへの貪欲さは出会ったころからずっと変わらない。役者として、何ごとも“太く”進化している」、「丈史は昔から色気があって、華があって、大柄で、まるでステーキのような存在感」と、役者としても尊敬しあう仲。「ジョルジュとアルバンは20年一緒に暮らしてきた仲ですが、僕らは50年付き合ってきた仲。そんな2人にしか表現できない夫婦愛や、家族の絆をお見せしたい」と締めくくった。

日本のミュージカル界を代表する2人が魅せる、華麗で楽しく愛にあふれるミュージカル。人を思いやる優しさが全編に詰まっていて、観れば元気になれること間違いなしだ。

公演は、4月22日(金)~25日(月)福岡・博多座、4月29日(金・祝)~5月1日(日)大阪。梅田芸術劇場メインホールにて。その他、愛知、富山、埼玉を巡る。チケットは発売中。 ※博多座公演中の4月22日(金)・23日(土)17時公演は来場者イベントあり(詳細は博多座HP参照)。