(C)飯野高拓

“ダンス×演劇×J-POP”を掛け合わせ、セリフを使わず身体表現をメインに物語を立ち上げるダンスエンタテインメント集団・梅棒。彼らの最新作、14th WONDER『おどんろ』が東京・サンシャイン劇場にて現在上演中だ。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全公演中止となった昨夏のリベンジとなる本作。劇中では、NEO妖怪のイタズラで生活が一変するブラック企業の会社員を中心とした“トンデモ絵巻”が綴られ、梅澤裕介(梅棒)がサラリーマン・萬代を、ゲストの小越勇輝がNEO妖怪のリーダー格・妖太郎を、同じくゲストの大西桃香(AKB48)が 不可解な事件の原因究明に奔走する新米刑事・那夢子を演じる。

人々の暮らしがNEO妖怪に脅かされつつあるトーキョー都タイトー区の製薬会社で働く萬代。演じる梅沢は、事前の取材会で「激しいアクトで表現することが多い梅棒の中で最もエネルギー消費量が少ない」と笑っていた通り、うだつの上がらないポンコツ社員を巧みな表情と着古したスーツ姿で体現する。一方でオープニングと終盤ではキレのあるダンスを披露し、通常運転ぶりを覗かせるひと幕も。

小越が扮する NEO妖怪は、ルーズソックス・たまごっち・フィンガースピナーなど流行アイテムをまとったポップな出立ち。大きく華々しいアクションで劇世界に貢献するシーンは昨夏行っていた稽古の賜物なのか、「再集結し、より良い作品になるよう妥協なしで作っては壊す再構築もしていき何倍にもパワーアップした」とコメントした通りの出来栄えだった。

今回のリベンジ公演からキャスティングされた大西は、NEO妖怪の逮捕に燃える刑事役。凛としたたたずまいと俊敏なダンスで、ひたむきな那夢子像を立ち上げる。開幕に際して「座組の皆様に沢山助けていただいて全てのお稽古を終えることが出来ました」と報告。「お稽古を重ね、毎日がとっても楽しくて、那夢子として走り回っている瞬間がとても幸せです」と述べている。

作・総合演出を務める伊藤今人いわく、本作は梅棒 10th Anniversary『OFF THE WALL』 (2020年)以来の完全新作。昨夏の中止分と合わせて「2作品分の稽古期間を経てついに完成しました。我々がかける想いも倍、完成度も倍、感動も倍。お待たせした分、期待値も倍だとしても十分にお応えできる自信作になりました」と開幕に際して胸を張った。

キャストは他に、梅棒メンバーの鶴野輝一、遠山晶司、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴、多和田任益に加えて、Q-TARO、YOU、パイレーツオブマチョビアン、NANOI、Kurumi Shiina、RiNnAが名を連ねている。

東京公演は4月17日(日)まで。その後、5月にかけて三重・大阪・高知・愛知と巡演する。チケット販売中。

取材・文:岡山朋代