「子どもの教育方針や家計の管理について喧嘩が増えた夫とは、寝室を別にして必要最低限のことしか会話しない状態が4年ほど続いていました。
仮面夫婦になっていることは気づいていましたが、離婚するなら私がもっと収入を増やさないといけなくて、仕事をがんばっていることは夫も気づいていたと思います。
そんなとき、夫の単身赴任が決まり心のなかで『最高!』とガッツポーズを取っていたのですが……。
県外の社宅に移るため、さっさと自室から荷物を運び出していた夫。
子どもにだけ挨拶をして私のほうは見向きもせず出発していき、『せいせいした』と思っていましたが、数日経つと“もう帰ってこない状態”に少しずつ心細さを覚えるようになりました。
一気に減った洗濯物や夫の車がない庭、夫専用だったマグカップが消えた食器棚などが、何だか寂しくて。
それに、家事などほとんどやらず料理もまともに作ったことがない夫が慣れないひとり暮らしをどう過ごしているか、心配する気持ちも湧いてくるのですよね。
モヤモヤしていたら娘から『電話すればいいのに』と言われ、思い切ってかけてみたら出てくれて、生活の様子などを聞けました。
『なかなか寝付けない』『酒が増えた』と話す沈んだ声を聞いたら、『行かなければ』と自然に思いましたね……。
その週末に娘と夫の社宅に出向き、洗濯や掃除をして狭いキッチンでご飯を作るのがすごく新鮮でした。
夫は私にも久しぶりに笑顔を向けてくれて、数年ぶりのいい雰囲気に涙が出そうで。
離れたことで、お互いに存在の大切さを実感したのかもしれません。
それから夫とLINEや電話で話すことが増え、少しずつ関心が戻っているのを実感しています」(女性/40歳/総務)
お互いに楽になったはずが、寂しさが勝るのは仮面夫婦を納得していなかった証拠。
本当に愛情が消えていたのなら、まず心配する気は起こりません。
離れたことがきっかけで存在の重さに気がつくのも、夫婦としての絆が残っていたからです。