
劇団ナイスコンプレックスの舞台、フリーカル『YAhHoo!!!!』2022が、2022年5月に池袋・あうるすぽっとで上演される。本作は東日本大震災後の福島県・浪江町を舞台に、2018年から毎年開催している公演。4度目となる今回、福島県出身の俳優・なすびが、主人公の先輩となる風露草太役で出演する。
劇団主宰のキムラ真から熱烈なオファーで今回の出演が実現したが、当初は迷いがあったという。
「震災後12年目に入った今、福島が直面してきたことを舞台で表現できるのか、戸惑いがありました。でも、地元出身の僕が関わること、そして復興支援活動ではなく“俳優・なすび”として、主戦場であるエンターテインメントの場で協力することに意味があると思い、出演を決意しました」
なすびが演じる風露草太は、教師を目指していたが、震災をきっかけに地元の復興のため、実家が営む建設会社に就職するという役。復興に向けてリーダーシップを発揮する役どころは、福島で意欲的に活動するなすびにぴったりの役といえるだろう。
「実際に脚本を読んでみると、自分自身と共通するところがたくさんあります。僕も震災後、役者やタレント活動をいったん辞めて、福島の復興のために何かやらなければ…と思いましたから。もしエンタメの世界で僕の価値が認められていたら、何年後であっても『なすびと仕事がしたい』と言っていただけるけれど、復興は今やらないと間に合わないと考えました」と熱く語る。
本作は、劇団ナイスコンプレックス独自の復音劇・フリーカル。歌って踊るステージとなるが、歌について質問をすると「実はあまり得意じゃないんです(笑)。過去に宮本亞門さんのミュージカル作品に出演したことはありますが、コーラスに参加した程度でした。でも歌は嫌いではないし、キムラさんが『歌は大きな想いを直接的な言葉でお客様に伝えられる。上手いとか下手ではない』と言ってくださるので、その言葉が僕の背中を押しています」と意欲的な姿を見せた。
「舞台衣装の作業服姿が『ハマっている』と評価をいただいていますが(笑)、キムラさんからは『なすびさんなりの草太を作り出してください』と言われました。きっと見たことがないなすびをお見せできると思いますし、舞台を観ることも福島・東北への応援になります。ぜひ劇場へいらしてください」
文/撮影:咲田真菜