ゴールデンウィークに東京のど真ん中で繰り広げられる「丸の内ミュージックフェス」。クラシックもジャズも、子供から大人までファミリーで楽しめるのが売り。その真骨頂とも言えるのが、5⽉4⽇(水・祝)東京国際フォーラム・ホールCで行なわれる参加型コンサート「セッション⇔セッション・ワンダーランド」だ。
ジャンルを超えた4人のトップ・プレーヤーが集結する。菊本和昭(トランペット)に齊藤健太(サクソフォン)と、ジャズ風に言えばフロントにクラシックの名手が並び、リズム・セクションを林正樹(ピアノ)とクリストファー・ハーディ(パーカッション)のマルチ・ミュージシャン二人が固める布陣。
コンサートには「音が鳴る物を持参して」というリクエストがあり、子供たちが(もちろん大人も)演奏にがんがん参加できる仕掛けが施される。
飛沫防止のため、笛やハーモニカなど息で鳴らす楽器を持っていくのは我慢。打楽器的な物がよさそうだ。でもなにも正式な「楽器」でなくたっていい。リハーサルを覗いたら、彼らはペットボトルにビーズを入れた手作りの「シェーカー」や、空の段ボール箱を叩くSDGsな「太鼓」を使っていた。物に頼らず自分の身体を叩くのもあり。
さらに、「用意できる人はソの音が鳴る楽器」という追加リクエストもある。試しに家のコップや茶碗で「ソ」を探してみたのだけど、その行為自体が思いのほか面白い。子供と一緒に家中を叩いて探してみるのも楽しいんじゃないだろうか。もちろん厳密じゃなく、「だいたいソ」でOK。逆に本格的に、ヴァイオリンとかの持ち込みも可。
出演者たちは言う。
「何が生まれるか私たちにも予想不能。一期一会の音楽を楽しんで!」
「あっという間の1時間。途中で抜けるともったいないから、トイレは開演前に」
「映画や遊園地に行く感覚で遊びに来て!」
そして、「やっちゃいけないことは何もない」ときっぱり。まさにワンダーランドだ。
プログラムは、ジブリからクラシック、林正樹の名曲《ソたち》(「ソ」の音の楽器が活躍するのはもちろんここだ)などジャンルレス。聴けば楽しい曲ばかりだから、予習なんて要らない。
参加型だけでなくじっくり鑑賞する曲もある。そのあたりは、この種の参加型イベントのリーダーとして広く活躍する音楽家・磯野恵美が、ナビゲーターとしてステージと客席をわかりやすく繋いでくれるから安心。連休の一日、音楽を、文字どおり〝身体中で〟楽しもう!
(宮本明)