ポイントはたった3つ「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」
せっかく仲間とわいわい飲み会をしていたのに、撮った写真はみんなブレブレ。感動的な夜景を記念に残しておこうと思っても、画質が極端に悪くなってしまう。かと言って、フラッシュを使えば、顔がテカってしまったり、明るくなり過ぎてしまったりして、雰囲気がぶち壊し。こんな経験、誰しもがあるはずです。
そこで今回は、フラッシュを使わずに、室内写真や夜景をしっかり撮影するコツと、カメラの設定の考え方を徹底解説します。
デジタルカメラは、レンズから取り込んだ光を電気信号(画像データ)に変換するシステムです。
室内や夜など、光が少ないときに考えるべきは、たった3つの要素です。
1. レンズから取り込む光の量
2. 取り込んだ光をセンサーに当てる時間
3. センサーが光を感じ取る敏感さ
それぞれを「絞り(F値)」「シャッタースピード」「ISO感度」でコントロールします。
絞り(F値)
「絞り(F値)」の調整によって、レンズから取り込む光の量が決まります。F値が小さければ小さいほど、絞りは大きく開き、多くの光を取り込めます。室内や夜間など、光が少ない場面でも、明るい写真が撮影できるわけです。
F値を小さくすると、ピントが合う範囲が狭くなる影響が出ます。ポートレートなど、被写体が単独かつ明確な場合は、被写体がくっきり浮かび上がるため、F値を最小近くにして、背景や周囲を意図的にボケさせるケースが多いです。一方で、集合写真や風景写真の場合は、F8程度まで絞って、なるべく広範にピントが合うようにします。
室内や夜間に撮影する場合は、F値をなるべく小さめにします。夜景の場合は、ピントが合う範囲を広くしたいので、F値を上げたいのが本音です。が、取り込める光量が足りなくなってしまっては、元も子もありません。トレードオフで考える必要があります。
なお、コンパクトデジタルカメラは、そもそもF値をコントロールできない機種も多いです。レンズ口径も小さく、光を取り込む絶対量で劣ります。一方、ミラーレスやデジイチは、レンズを交換できるメリットがあります。口径の大きなレンズを装着すれば、それだけF値を小さくできるわけです(レンズごとに最小F値が明記されています)。F2.8やF1.4などの明るいレンズがあれば、室内や夜間の撮影に威力を発揮します。
シャッタースピード
「シャッタースピード」の調整によって、取り込んだ光を撮像素子(イメージセンサー)に当てる時間が決まります。もちろん、光が当たる時間が長ければ長いほど、明るい写真になります。
光の少ない環境では、シャッタースピードを遅くしたほうが有利なのですが、あまり遅すぎると手ブレや被写体ブレがおき、しっかりとした写真になりません。
動きのある対象であれば1/200秒程度はほしいですし、夜景など全く動かない対象で、なおかつしっかりした三脚があれば、5秒でも大丈夫です。シチュエーションによって、必要最小限のシャッタースピードに設定してください。
ISO感度
「ISO感度」の調整によって、イメージセンサーが光を感じ取る敏感さが決まります。ISO感度が高ければ高いほど、室内や夜間でも明るい画像になります。手持ち撮影の場合、室内ではISO1600以上、夜間ではISO3200以上が必要になるケースが多いです。
ところが、ISO感度を上げると、少ない光を増幅する結果になり、光を画像に変換する際に誤差が大きくなります。つまり画質が大きく劣化します。カメラの描画エンジンの性能にもよりますが、おおむねISO1600以上になると、目に見えて画質が劣化します。ISO感度もやはり必要最小限に設定します。