ミュージカル『モダン・ミリー』の製作発表会見が2022年5月10日、東京都内で行われた。本作は1967年公開のミュージカル映画を原作に、映画公開から約30年を経て舞台化したもの。2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞し、大ヒットしている。
本来、2020年4月に上演を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発出を受けて、開幕直前に公演中止に。今回は、およそ2年半の時を経て、9月7日(水)に初日を迎える予定。演出の小林香が中止決定時にキャスト・スタッフにあてた手紙の中の言葉を借りれば、“大幅な延期”を経て、満を持しての上演となる。
モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリー・ディルモント役を演じる朝夏まなとは「お稽古をすべて終えて、やっと劇場に入れるというときに止まってしまいまして。やるせない気持ちと切ない気持ちと、でも仕方ない気持ちもどこかにあって、救いようのない想いでいっぱいだった」と公演中止のことを振り返りつつ、「(小林の)“大幅な延期”という言葉を信じて、2年越しに公演ができることが嬉しいです。2年間、他のいろいろな作品に携わってきて、自分自身が成長できていたらいいと思っています」などと意気込んでいた。
ジミー・スミス役の中河内雅貴も「2年前は心が苦しかった時期でもありました。この作品はとてもハッピーな作品で、辛い時にもこの作品の楽曲を聞き直して、自分自身、救われた部分がありました。きっと観てくださるお客様の心もハッピーにしてくれる。ぜひとも劇場に足を運んでいただいて、明日への活力になるような存在でいたいなと思います」と熱弁をふるった。
そんな中、ミリーの就職先の社長であるトレヴァー・グレイドン役の廣瀬友祐が「良いのか悪いのか、まったくこの作品の記憶がなくてですね......久々に台本を見たんですが、記憶はありませんでした」と正直に明かすと、会場からは笑い声が聞かれた。それに対し、ミセス・ミアーズ役の一路真輝は「(公演中止という)あの時のショックはかなりダメージとして残っておりまして、それもあってか、私は結構鮮明に覚えておりまして。朝夏さんのタップ、廣瀬くんの不思議な役作り、保坂さんの可愛らしい歩き方。全て忘れていないですよ」と話していた。
本作の見どころについて、演出の小林は「金太郎飴のように、どこを切りとってもブロードウェイミュージカルの楽しさが詰まっている。とても明るく楽しいミュージカルで、疲れた心を癒すのにいい作品」。劇中のお気に入りシーンについて尋ねられると、「ふんだんにあるタップのシーン」(朝夏)という意見や「プロローグの場面がすごく好き」(実咲凜音)、「ミリーちゃんとジミーの純粋なラブストーリーが軸にあって、2人を応援したいなと思った」(保坂知寿)などと具体的な回答が寄せられていた。
公演は2022年9月7日(水)〜26日(月)日比谷・シアタークリエ 、10月1日(土)、2日(日)大阪・新歌舞伎座で上演される。
取材・文:五月女菜穂