世界的な童話『オズの魔法使い』が、新たな物語と音楽で新作ミュージカル『DOROTHY~オズの魔法使い~』として上演される。ドロシーを演じるのは、本作が単独初主演となる桜井玲香。「カンパニーを引っ張っていけるように自信を持って頑張りたい」という桜井に話を聞いた。
ミュージカル「DOROTHY~オズの魔法使い~」チケット情報
『オズの魔法使い』はライマン・フランク・ボームが1900年に児童書で出版。1939年にはハリウッドで映画化され、ジュディ・ガーランドが演じた少女ドロシーは世界的なアイコンとなった。桜井は「大人でも楽しめる世界。まさか、この年でドロシーを演じることができるなんて」と微笑む。
原作はアメリカ、カンザス州で暮らすドロシーが、臆病なライオンや心を持たないブリキ男らと共にオズの国を旅する物語だ。今作では、オペラから演劇、映像作品など幅広く手掛ける田尾下哲が演出・脚本を担当し、とある都会の大学オーケストラ部を舞台に展開。オケのコンサートマスターのドロシーは、学生最後の定期演奏会を前に他の楽団員たちと意見がすれ違う。ショックを受けたドロシーは、自らヴァイオリンを封印しようとすると音楽の都「OZの王国」に飛ばされる…。
桜井演じるドロシーは気の強いお嬢様で、“バリバリ”のプロ志向だという。「バリキャリ志向でも意外とドジで、決して完璧ではない子だろうなと。今までのドロシーのイメージが変わると思います」。宮川彬良が手掛ける音楽にも注目で、桜井は「私やキャストの歌声を聴いてから曲を作られるとのことで、実際にお会いして歌わせていただきました。どうなるのかすごく楽しみです」と期待を膨らませる。
2019年に乃木坂46を卒業後、数々のミュージカルに出演。「今思えば、知らないことは強いなと思うぐらい最初は突っ走れたんです。でも、ある作品で帝国劇場に立たせていただいて、帝劇のレベルの高さを肌で感じ、自分の無知や至らなさを痛感してトラウマになるぐらいにへこみました。それでも続けさせてもらえているのは、何か意味があるから。これからもしっかりと舞台に向き合っていきたいです」と熱を込める。
『オズの魔法使い』の登場人物たちは、知識や勇気など、自分にはないと思い込んでいたものが、実はあったことに気づいていく。桜井がないと思っていて発見したことについて聞いてみると、「舞台でのハプニング対応力ですね。“出落ち”の逆をやってしまったんです。俳優さんがセリフを言っている最中に、私の出番でもないのに舞台に出て行ってしまって。皆、びっくりしていました(笑)。何事もなかったように笑顔ではけましたが、よくあんな大失敗をして、同じテンションでまた演じられたなと(笑)」。余裕とまではいかないが、今は、開き直ってハプニングも楽しめるようになったという。本作で、頼もしいドロシーを見せてくれそうだ。
公演は8月20日(土)~28日(日)東京・日本青年館ホールを皮切りに、全国10都市を巡演。関西公演は、9月16日(金)~19日(月・祝)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。
取材・文:米満ゆう子