会社でつくる友人関係はストレスの原因にもなりやすい

【誰も教えてくれない仕事の秘密・2】 会社で働いていると、さまざまなストレスが掛かることが多いもの。そういったときに話を聞いてくれるのが同期入社など、社内でできた友人でしょう。しかし、対人関係で「さらなるストレスを受けたくない」なら、社内に友人関係はあまり求めず、割り切った付き合いをすることも大切。これが自分の身を守ることにつながる場合も多々あります。

これは実際にあった話です。ある部署に同期入社の二人(Aさん・Bさん)がいました。二人ははた目から見ても仲が良く、常に一緒に行動し、休日もよく二人で出かけていました。時には酒を酌み交わしながら、上司への不満を言い合い、ストレスを発散することもありました。

そんな間柄の二人にある時、辞令が出されて、Aさんがその部署の主任になることに。これがキッカケとなり、二人の間が徐々に、ぎこちなくなってきました。

主任となったAさん(以下、A主任)は、部下になったBさんに指示を出しにくく、周囲からは「部下によって態度を変える人」という印象を持たれてしまいます。かたやBさんは、A主任の運営の拙さに不満を持ち、陰でA主任の悪口を吹聴するようになりました。

休日も出かけるほど良かった友人関係は、嘘のように崩れ去りました。結局、お互いに気まずい思いを持ちながら過ごす日々は、Bさんが異動する時まで続いたのです。

これは、片方が役職についたケースになりますが、他にも図のようにちょっとしたことで会社の友人関係は崩れやすいものです。会社での友人関係は利害衝突も発生するため、幼なじみや学生時代の友人とは明らかに性質が違います。

最初は、少しでも職場での時間を過ごしやすくするため友人関係を望むのかもしれませんが、「逆にそのことがさらに大きなストレスを生む原因になる」ことも少なくありません。

同じ会社に集まった目的は「目標の達成」であり、プライベートと仕事は別という割り切りも必要です。最近では、リモートワークの普及でリアルでの人のつながりも求められていますが、それは「友人関係」ではなく業務の精度を高めての「信頼関係」の構築が望ましいといえます。

【ポイント】

・職場での人間関係には、一定の距離を置いた、割り切った付き合いで、ストレスから自分を守ろう!

・「友人関係」よりも、業務の精度向上による「信頼関係」を育もう!(大和 麓)

大和 麓(やまと・ろく)

中小企業コンサルタント、研修講師。大手スポーツ用品メーカー、大手流通小売業を経て独立開業。地方自治体の経営支援アドバイザーとして十数年勤務するなど、多数の指導・研修実績を有する。マーケティング、社員教育を通して、中小企業・小規模事業者の業績改善に取り組んでいる。